たそがれシネマ

最近見た映画など。

最近見た映画 (2016/06/04版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

ひそひそ星
園子温監督の新境地にして『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』の遠い遠い親戚?ひそやかに仕事を続けるアンドロイドの目に人類の没落はどう映るのか。人工知能の話題が頻出し始めた今の時代だからこそいろいろ思ってしまう。

 

殿、利息でござる!
ひどい税金に苦しむ宿場町の商人達が、お金を貯めて大名に貸し利息を取ることにした、という江戸時代の実話なんだそう。でもピケティもびっくりの投資の話じゃなく、子孫に何を残せるのか、という切なる思いがテーマなんだよね。

 

海よりもまだ深く
「こんなはずじゃなかった」とか言ってないで現実見ろよ、と言いたくもなるが、いろいろ難しいのもよく分かる。結局、樹木希林さんのようにすべて受け入れて達観して日々を大切に生きましょうという話なんでしょうかしら。

 

カルテル・ランド
麻薬カルテルを相手に立ち上がった自警団、というのも何か胡散臭く、結局何も頼りにならずに混沌状態が続くメキシコ。世界中のこれだけ広い地域で国家なるものが瓦解しつつある今日この頃、そこいらのフィクションはドキュメンタリーに太刀打ちできない。

 

園子温という生きもの
強烈な表現欲求と承認欲求のカタマリだったかつての園子温監督が嫌いだったのは同族嫌悪だったのだろうとよく分かった。いい奥さんと結婚できてよかったね。これからも監督の前に長い道が続いていくことを祈ってます。

 

ヒメアノ〜ル
タイトルは捕食されるトカゲを意味する造語なんだそう。リアルにサイコパスの人がいたらこんな感じなんだろうなぁという森田剛さんが恐ろしすぎながらも、後に残るのはもの哀しい印象。ムロツヨシさんの可笑しさに救われましたわ。

 

ディストラクション・ベイビーズ
ボーン・トゥ・ビー・バイオレントの狂犬に、クズとゲスが感染する。暴力を描きたかったと真利子哲也監督は仰ったが、暴力って何なのかさっぱり分からないこということがよく分かっただけなのかもしれない。

 

或る終焉
最近たまたま終末期ケアの本を読んだので、いろいろ思うところがあったが、若い人にはさっぱり面白くないかもしれないな。そして、人生万事塞翁が馬?こんな静かなティム・ロスさんも素敵ねー。

 

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ
ヨーロッパ各国を巡って見習うべき社会制度を教わるのはいいとして、そこにアメリカの旗を立てて回るというコンセプトがよく分からん。しかし、日本ってアメリカの悪いところばかりをマネしてるんじゃなかろうかとつくづく思った。

 

ヘイル、シーザー!
1950年代のハリウッドは黄金時代にしてスタジオが有効に機能していた最後の時代で、コーエン兄弟はこの時代を舞台にしたコメディを作りたかったのだそうだ。しかし、赤狩りの描き方とかこんなんでいいの?と思っちゃった。

 

あめつちの日々
沖縄・読谷村の北窯に流れるゆったりとした時間。ていうか沖縄産の陶器があるってこと自体を知らなかった。すみません。

 

明日の世界 ドン・ハーツフェルト作品集
シンプルな線書きのキャラクターとは裏腹に、早口の哲学的なナレーションがマシンガンみたいに響き渡るアニメーション。あまりのスピード感にオバサンはちょっと疲れたかな…。

 

 

今回は他に【世界から猫が消えたなら】なども見ましたが、脳腫瘍で死にかけている?主人公の元に悪魔?がやって来て、寿命を1日ずつ延ばすのと引き替えに主人公の大切なものを1つずつ消していく?という設定自体にどうして???という疑問ばかりが山のように湧いてきて、端から全然ついて行けませんでした。そもそも、いきなり脳腫瘍で死ぬとかベタすぎない?とか、悪魔か何か知らないがある特定の個人のところにやってきてその記憶を細かくポチポチいじるほどヒマだなんて物理的にありえなくない?とか、どうせ死にゆく運命なら往生際悪く1日2日寿命を延ばしたってしょうがなくない?とか……。物語の入口からこういう反応だったということは、そもそも自分はこの映画の観客としてふさわしくなかったということなのでしょう。どうもすみませんでした……。

 

最近見た映画 (2016/05/09版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

モヒカン故郷に帰る
訥々とした語り口の中に隣人愛(今回の場合は親子愛)がじんわりと滲み出してくるタッチがいつもながら素敵。今後、日本で山田洋次監督の遺伝子を受け継いでいくのは、もしかして沖田修一監督なのではあるまいか。

 

台湾新電影(ニューシネマ)時代
ホウ・シャオシェン監督とかエドワード・ヤン監督が築き上げた映画史の一時代をほぼ同時代に経験できてラッキーだったなぁ。そして本人の言う通り、ツァイ・ミンリャン監督はこの中ではちょっと異質で浮いてると思う。

 

ルーム
監禁から生還できてよかった、だけで終わるのではなく、簡単にぬぐい去ることなどできる訳がない傷の深さを丁寧に描き出しているのが秀逸。アメリカ映画には珍しい淡々とした語り口だなぁと思ったら、実はカナダ映画だったりして。

 

スポットライト 世紀のスクープ
カトリック教会内での少年少女への性的虐待とその組織的な隠蔽なんて、キリスト教圏では社会の屋台骨を揺るがしかねないとんでもない大事件!様々な圧力や葛藤と戦ってこれをスクープした新聞社の気骨が凄い。

 

追憶の森
若者好きなガス・ヴァン・サント監督には珍しくおじさん2人が主人公。謙さんは現実の人間というより、マシューさんの記憶を昇華に導く樹海の森の精か何かのように見える。このチームでまた何か創ってくれないかな。

 

レヴェナント:蘇えりし者
息子を殺された男が復讐するという、言ってしまえばただそれだけの話を、ディカプリオさんが怒濤の迫力と圧倒的な緊密さで見せきる。その中にネイティブアメリカンに対する蹂躙の歴史が垣間見える。

 

蜜のあわれ
昭和のおっさんの妄想の産物も、二階堂ふみさんが絶妙に演じてるからギリ格調高い文学的ファンタジーで通るかも。赤いひらひらの金魚のイメージがエロティックで美しい。やればできる石井岳龍監督。

 

山河ノスタルジア
経済発展の波に揉まれて内面的に変質していく中国社会を活写し続けてきたジャ・ジャンクー監督。20年近く経って監督の描きたいものがやっと分かってきたような気がする。

 

下衆の愛
やることなすことサイテーでも映画への愛だけは本物であるらしい映画監督を渋川清彦さんが熱演。日本の映画界ってこんなに肉食系の人ばかりじゃないような気もするけれど……。

 

SHARING
3.11の記憶は共有できるのか。鑑賞中は引き込まれて見てたけど、説明しようとするとどうも難しい。主演の女性2人の理知的な美しさが作品に合っていた。

 

アイアムアヒーロー
世界がゾンビだらけになったら真っ先に噛まれて楽になりたいと思うのは自分だけ?アップテンポで見応えあったけど、結局、銃でしか身を守れないという展開に帰結するのは、アメリカで銃持ってる人と同じ理屈なのではあるまいか。

 

オマールの壁
合作映画は見たことあるけど、100%のパレスチナ映画が創られたのは初めてのことらしい。パレスチナ映画が絶望でなく希望を語れるようになるのはいつのことなのだろう。

 

緑はよみがえる
巨匠エルマンノ・オルミ監督のそのまたお父さんが、1世紀くらい前に第一次世界大戦に従軍した時の話。作中では緑はよみがえらない……というか、人類愛で蘇らせなきゃということなのね。

 

孤独のススメ
平凡な独身中年男の日常生活という地味な始まり方から、さる男性との同居という意外な展開に発展する、ちょっと独特なタッチのオランダ映画。ちなみに、孤独は全然ススメてませんけどね。

 

 

【青春100キロ】は、時間が合わなかったり満席だったりで見逃してしまいました。とりあえず、平野勝之監督がお元気そうで何よりです。また機会があったら拝見させて戴きたいと思います。

【64 -ロクヨン-】は後半が公開されてから見に行きます。基本的には2部作ものは見に行かないことにしておりますが(最近公開された某青春かるた映画もそれで断念しました)、何せ瀬々敬久監督の大ファンなので、仕方がないから泣く泣く見に行きます。観客に時間もお金も倍の負担を強いることに何の躊躇も良心の呵責も感じておらず、「同じ製作費で倍稼げる方法見つけたオレら天才~!」くらいにしか考えていない日本映画界は、滅んでも仕方がないのではないかと思います。

 

最近見た映画 (2016/04/08版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁
かりそめの関係しか存在しないような世界にも真心や真実はちゃんと存在していて、だから人間は生きていける。【リリイ・シュシュのすべて】と本作を撮ったので、岩井俊二監督はもう巨匠ってことでいいと思う。

 

バンクシー・ダズ・ニューヨーク
謎のストリートアーティストにしてアート界のリーサル・ウェポンバンクシーがニューヨークに1ヵ月滞在して作品を発表した時のドキュメンタリー。アートに少しでも興味のある人は、批判するにせよ賛美するにせよ目撃しておかざるを得ないだろう。

 

リリーのすべて
世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベの実話の映画化。リリー役のエディ・レッドメインさんも、その妻役のアリシア・ヴィキャンデルさんも上手すぎ!「やっと身も心も女性になれた」と微笑むリリーさんに魂を根こそぎ持って行かれた。

 

母よ、
母親の死を看取る女性映画監督の姿にはナンニ・モレッティ監督自身がある程度投影されているらしい。忙しい日常生活の中にも親の死という問題が避けて通れない皆様にしみじみ見て戴きたい中高年あるある映画。

 

家族はつらいよ
東京家族】と同キャストだけど全く別のお話。ふんぞり返って威張りちらす独りよがりな爺さん(橋爪功さんが上手すぎる)がひたすら鬱陶しいんだけど、この人の未熟さや稚拙さが最後にはほんのり可愛く見えてくるところが山田洋次マジックなんだわね~。

 

無伴奏
学生運動の時代。背伸びして恋愛していた彼女は、この先、この傷を抱えながらも前を向いて生きていくのだろう。成海璃子さん、池松壮亮さん、斎藤工さんの役者としての覚悟も、それを余すところなく掬い取った矢崎仁司監督も素晴らしい。

 

マジカル・ガール
劇中歌はアイドル時代の長山洋子さんのデビュー曲で、エンディングテーマは『黒蜥蜴』。陰鬱さが特徴的なスパニッシュ・サスペンスに、日本文化のエッセンスをマッチさせたカルロス・ベルムト監督のセンスが興味深い。こういうのも一種のグローバル化、なのかな?

 

父を探して
ブラジルの新鋭監督によるアニメーションで、経済発展により激変しつつあるブラジルの現状が男の子の目線で描かれる。色彩感覚が特に素晴らしいんだけど、この終わり方は私にはちょっぴり悲しく感じられた。

 

光りの墓
タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の最新作。夢とうつつを行ったり来たりするような作風は相変わらずだけど、本作には特に不思議な明るさと力強さがあるような気がする。

 

人魚に会える日。
13歳で撮った初長編【やぎの冒険】が話題になった仲村颯悟監督が5年ぶりに撮った最新作。ストーリー自体には若さゆえの荒さを少し感じるけれど、沖縄の現状への思いは痛いくらいに伝わってきた。

 

 

今回は他に、先年公開されて未見だった以下の映画を見ることができました。

孤高の遠吠】(小林勇貴監督)には富士宮市の本物の不良の皆さんが大挙ご出演なさっているそうで、こんな不良活動を行うエネルギーをもっと有効に使ったらいいのにと思いました(だからこそ映画でも作ってみようと思ったのかな?)が、日本全国のあちこちに転がっているのであろうこんな風景の中に蠢いている皆さんの姿を切り取ってみせているのは凄いと思いました。

Playback】(三宅唱監督)では、村上淳さんや渋川清彦さんや三浦誠己さんに学生服はあまりにも似合わねーと思いましたが、そんなちょっと無理めなストーリーも俳優さんの存在感があまりにも素晴らしいので成立していました。俳優さんの魅力を最大限に引き出す監督さんのこの手腕にはこれからも期待できるかもしれません。

 

 

ところで。行定勲監督の熊本県PR映画【うつくしいひと】が4月12日まで無料で配信されています。
これは行定監督を始めとする熊本ゆかりの人々や、熊本県内の市町村が協力して制作した映画なのだそうで、橋本愛さん、高良健吾さん、石田えりさんなどの出演者もみんな熊本出身の方々なのだそうです。重要な役どころで出演なさっている姜尚中先生(やはり熊本出身なのだそう)の存在感も悪くありません。くまモンも出てます!短編ですが行定監督の上手さが光るしっとりした良作で、一見の価値ありです。

 

(2016/04/18追記)
熊本の地震のニュースを見ていろいろ思うところがありましたが、まず何より、被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに、ライフラインと安全な環境の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

 

最近見た映画 (2016/03/11版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

十字架
いじめ、ダメ。ゼッタイ。は当然ながら、周りの人々が当人の死により負った傷とどのように向き合っていくのか、と部分を丹念に追っているところが素晴らしい。永瀬正敏さんは日本映画界の至宝になりつつあると思う。

 

キャロル
1950年代のアメリカで愛を貫こうとした女性カップルの話。ケイト・ブランシェット様の美しさと優美さが筆舌に尽くしがたい!純真でひたむきな女に見事に化けているルーニー・マーラさんも初めていいなと思った。

 

オデッセイ
独りで置いてけぼりになった火星から帰還を果たそうと頑張るこの話に、この邦題は悪くない。手に汗握り拍手を送りたくなる王道的展開が白けることなく楽しめる、正しいハリウッド映画。

 

牡蠣工場
想田和弘監督作品を初めて見た。地方の肉体労働の現場を映し取ると、外国からの出稼ぎ労働者=グローバル化の話が漏れなく含まれる。おそらくこういうことが日本全国で起きているのだろう。

 

ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年
同じ阪本順治監督の【BOXER JOE】から約20年。ボクシングにはほとんど興味ないけど、「辞める理由が分からない」という辰吉さんにえも言われぬシンパシーを感じてしまう。最近は長く現役を続けるアスリートも増えていることだし、気が済むまでやってみたらいいのでは。自分の人生なんだから。

 

ディーパンの闘い
戦火を逃れるために赤の他人の女性と少女で家族を装ってフランスにやって来た元兵士の“心の戦い”。何故かしら古き良き時代の坂本龍一氏の『フロントライン』が頭の中でリフレインしていた。

 

断食芸人
“長期海外出張中”だった足立正生監督が、現在の日本をポップとかポピュラリティとかポピュリズムという切り口で解釈するとこうなるらしい。独特の表現は買うけれど、不用意に強姦シーンを入れたがるこの時代のおじ様特有のクセだけは直して戴けないものだろうか。

 

火の山のマリア
グアテマラの映画はおそらく本邦初公開。どいつもこいつも、ろくな男が出てきやしねぇ。彼等に運命を左右されてしまうグアテマラ女性の現状は暗い、という批判が込められているらしいのだが。

 

不屈の男 アンブロークン
元オリンピック選手が戦争に行ってどれだけ苦労したか、という話でしかなく、これを反日映画だと言って騒いでる方々の思考回路は理解に苦しむ。【戦メリ】の部分的パクリっつって揶揄するならまだ分かるけど。

 

シェル・コレクター
貝類というのはモチーフとして何だかエロティック。リリー・フランキーさんのよれよれ爺ぃっぷりがいいなぁと感じるのはちょっとマニアック?

 

 

他にはこんな映画なども見ました。

 

スティーブ・ジョブズ
バイオグラフィを懇切丁寧に描いたタイプの映画とは違うので、少なくとも、スティーブ・ウォズニアックジョブズと一緒にアップル社を立ち上げた元盟友で、ジョン・スカリージョブズがアップル社に引き抜いた元ペプシの幹部でジョブズをアップル社から追放した張本人だということくらいは知っていないと、ちんぷんかんぷんなのではなかろうか。

女が眠る時
古めかしいタイトルだなぁと思ったら、内容も古めかしい感じだった。今はもう21世紀で、観客の半分は女なんだから、観念としての女を描こうとすること自体の古くささにそろそろ気づいた方がいいと思うのだが。

ヘイトフル・エイト
レザボア・ドッグス】と似ているという意見を聞くけれど、私は全然違うような気がする。かの映画からは洒落っ気と茶目っ気が失われ、ここにあるのは剥き出しの増悪だけ。ここ何作かのタランティーノ映画に個人的に心が躍らなくなった理由に少し思い当たった気がした。

 

 

かの【マトリックス】の監督のウォシャウスキー兄弟はウォシャウスキー姉弟になりましたが、この度、ウォシャウスキー姉妹になったということです。……詳しいことはよく分かりませんが、心のままに生きるということはいいことなんじゃないかと思います。

 

最近見た映画 (2016/02/11版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

サウルの息子
ナチスのガス室の話は読んだことはあるけれど、実写で再現してしまうとこんなにも恐ろしいものか(画面では大分ぼやかしてはいるけれど)。総ての人間性が徹底的に剥奪された世界で最後の尊厳を守り抜こうとした人達を、どこまでも踏みにじろうとしたナチス。彼等の存在もまた人類の一側面なのだという事実が恐い。

 

最愛の子
中国では、都会でさらわれた子供が、跡取りの働き手がいない農村の一家に売り飛ばされるという誘拐事件が多発して、マジで社会問題化しているらしい。(社会保障制度がなくて老後は子供に頼るしかないという事情もこの状況に拍車を掛けているらしい。)国や社会情勢は違っても、子供を愛し、狂おしいばかりに子供を探し求める親の気持ちに変わりはない。子供がいる人が見たら更に心を揺さぶられるんじゃないかな。

 

お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました
昔、ザ・スターリンというパンクバンドがあってだな……。遠藤ミチロウさんは、しばらく見ない間に、過激で訳の分からないおじさん(←自分に理解する能力がないだけ)から 、過激でカッコイイおじさんになっていた。故郷に対する複雑な思いを静かに吐露するミチロウさんの佇まいは神々しいくらい。

 

俳優 亀岡拓次
まるで酔っ払っている時間と時間の間に浮かんでいるような不思議な感覚。こんな映画は横浜聡子監督にしか撮れない。そして安田顕さんはやっぱり抜群に上手い。頑張れ、負けるな亀岡拓次!そしてお酒はほどほどにね。

 

の・ようなもの のようなもの
歴代の森田芳光監督作品のオールスターズ!中でも【の・ようなもの】から35年経った元落語家を演じる伊藤克信さんの存在感が白眉。森田芳光監督への愛が隅々にまで溢れていて、森田ファンとは言い難い私でも少し泣けてしまった。

 

猫なんかよんでもこない。
猫がとにかく可愛い!そして風間俊介さんって上手な俳優さんだな~ということがしみじみ分かる。お兄さん役のつるの剛士さんもよかった。俳優としてのつるのさんももっと見てみたいかもしれない。

 

クリムゾンピーク
ネタとしてはありがちだし、そんなに恐くはないけれど、 ギレルモ・デル・トロ印の重厚なゴシック・ホラー調の画面はそれだけで楽しめる。

 

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります
古今東西、不動産の売買って大変!家の売り買いをする時にはそれまでの人生を見直してしまうのもあるある~。そんな人生の折々にこの映画のことをちょっぴり思い出す、ようなことがあるかもしれない。モーガン・フリーマンダイアン・キートンのカップルというのも斬新だった。

 

愛しき人生のつくりかた
ストーリーに派手さはないけれど、失踪したおばあちゃんを心配する孫息子がとてもいい子で癒やされる。パリの街並みやノルマンディーの美しい景色も麗しい。

 

 

2015年の個人的ベスト20映画

 

2015年の個人的ベスト映画です。

 

1.(該当なし)
2.【あん】
3.【バケモノの子】
4.【消えた声が、その名を呼ぶ】
5.【私たちのハァハァ】【ワンダフルワールドエンド】
6.【バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】
7.【KANO 1931海の向こうの甲子園】
8.【味園ユニバース】
9.【フレンチアルプスで起きたこと】
10.【さいはてにて やさしい香りと待ちながら】
11.【イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密】
12.【龍三と七人の子分たち】
13.【裁かれるは善人のみ】
14.【真夜中のゆりかご】
15.【サンドラの週末】
16.【妻への家路】
17.【バクマン。
18.【シェフ 三ツ星フードトラック始めました】
19.【アゲイン 28年目の甲子園】
20.【きみはいい子】
20.【幕が上がる】
20.【さようなら】

(次点の映画)
【神々のたそがれ】
【野火】
【フェデリコという不思議な存在】
海街diary
【恋人たち】
【ジヌよさらば かむろば村へ】
【岸辺の旅】
【セッション】
【アリスのままで】
【アメリカン・スナイパー】
【母と暮せば】
【FOUJITA】
【ジミー、野を駆ける伝説】
【サイの季節】
【愛を積むひと】

 

(ドキュメンタリー大賞)
フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように】

(ドキュメンタリー金賞)
【皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇】【セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター】【サム・ペキンパー 情熱と美学】【ルンタ】

(ドキュメンタリー銀賞)
【アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生】【氷の花火 山口小夜子】【薩チャン正ちゃん 戦後民主的独立プロ奮戦記】

(ドキュメンタリー銅賞)
【徘徊 ママリン87歳の夏】【バベルの学校】【みんなの学校】【地球交響曲<ガイアシンフォニー> 第八番】

 

今年は何を1位にしよう?といくら考えても思い浮かびませんでした。
実は、昨年見た映画で最も印象に残ったのは、フリーダ・カーロの遺品の写真を撮った写真家のドキュメンタリー映画だったからです。
そして、フィクション映画で一番衝撃を受けたのは松居大悟監督の【私たちのハァハァ】と【ワンダフルワールドエンド】だったのですが、これを1位にするというのもどうもピンと来ませんでした。
そんなこんなでこのような変則的な順位になってしまいました。どうぞご了承下さい。

 

よろしければこちらの元ページもどうぞ。

 

今年の抱負

今年はブログのタイトルを変更した他に、上映中のお勧め映画の順位形式も廃止することに致しました。

一応今までも、映画の良し悪しを判定するということではなく、人から聞かれた時に自分としてはどの映画を勧めたいか、という観点から順位をつけたりしていたのですが、それだけの目的であれば特に順位にしなくても何となく上から下に並べるだけでいいだろう、と思い始めたのと、自分の生活ペースからすると、現在上映中の映画をアップトゥデイトでご紹介するのが難しいかもしれない、ということが分かってきたからです。
あと、今までは総ての映画を網羅したいという心意気が心の中のどこかに一応あったのですが、歳を取ると共にそんな気持ちも徐々に摩耗してしまい、去年はついにその気持ちがゼロになってしまったということもあります。

 

どうでもいい映画はもう沢山。これからは、自分が面白そうと思える映画だけを見るぞー !! と当たり前のことを今更宣言してみたりしてすみません。