たそがれシネマ

最近見た映画など。

【シン・ゴジラ】は究極のお仕事映画だ。

 

シン・ゴジラ】 については、もう既にいろんな人がいろんなことを書いていらっしゃいますが、やっぱり私にも少しだけ書かせてください!

 

最初、一瞬、官僚や自衛隊ばかりをかっこよく描きすぎでは?と思いましたが、現在の日本に実際にゴジラのような災厄が現れたとしたら自衛隊以外に対処できる機関はなく、その自衛隊を制御できるのは政治家や政府だけなのだから、こういうストーリー展開になるのはある意味当然の帰結なのだろうと思いました。

 

主役の矢口蘭堂みたいな官僚は、人間性はどうでも、やることをちゃんとやってくれる官僚がいればいいな、という理想像なのだと思います。実際、官僚には、鼻持ちならない人間性と崇高な使命感が奇妙に同居している人が少なくないという印象があります(自分が知っている範囲内のごく少ないサンプル数で、しかも全員がそんなではありません。どうもすいません。)。ただ、それほど優秀な人がそうそう存在しているのかどうかは?そんな人がたくさんいるようなら、例えば、日本の借金が1000兆円を超える額に膨れ上がったりはしなかっただろうと思われるので……。

 

会議のシーンが多いのは、多くの方のご指摘の通り、日本で実際に物事を動かそうとしたら、一見無意味にも見える無数の会議が欠かせないということの正しい描写なのだと思います。そうして、実際にありそうな手順を踏んで、実際に何とか実施できそうな幾多の仕事を積み重ねることでゴジラを倒すからこそ、この映画は、仕事をすることで社会に関わった経験がある人間にとって胸熱なのだと思います。

 

それぞれの人がそれぞれの持ち場から1つの大きなプロジェクトに関わってこれを成し遂げる。そういう意味で、私がこの映画を見て真っ先に思い出したのは、矢口史靖監督の【ハッピーフライト】でした。
シン・ゴジラ】はいろいろな見方を許容してくれる映画だと思いますが、私がこの映画を“究極のお仕事映画” でもあると思ったのは、そのような理由からでした。

 

イギリスを見習いたい。

 

リオ五輪ロスに陥っている皆様、こんにちは。

 

映画に関係のない話題でごめんなさい。だけど、今回のリオ五輪の開会式の演出は【シティ・オブ・ゴッド】【ブラインドネス】のフェルナンド・メイレレス監督だったので、全くの無関係でもないのでは(こじつけ)。環境保護が重要なテーマの1つだったということですが、緑や植物を多用した美しい開会式を見ていると、そういえば、故郷に戻って熱帯雨林の復活プロジェクトに従事した写真家のセバスチャン・サルガドはブラジル人だったなぁと思い出したりしました。(詳しくは【セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター】をどうぞ!おぉやった!少しは映画に繋がったぞ!)

 

スポーツは全くやりませんが、見るのは嫌いではありません。私は自宅で仕事をしているので、期間中はほぼオリンピック番組をつけっぱなしにしていました。時には、テレビの横にiPadを並べ、テレビ番組とアプリでの配信画像を同時に眺めるなんてことも……。今回のオリンピックは日本人選手が活躍する場面が多く見られ、日本人にとっては特に見どころが多かったのではないでしょうか。でも、メジャーな競技もいいですが、馬術とかシンクロ飛び込みとかボートとか、テレビではあまり放送されない競技をネット配信で見たりするのも面白いですよね。私は、マツコさんの番組で紹介されていたカヌーの羽根田選手の決勝を、真夜中にライブ配信で見たのを周りにちょっと自慢しています。ホスト局が制作したという大会ハイライト画像(日本以外の選手の活躍もよく分かる)なんかも面白かったです。

 

リオ五輪が終わって思ったことは東京五輪のことです。好むと好まざるとに関わらず、やると決まったからには、多額の血税を投入し、多額の借金をこしらえてでも全力で実行されることでしょう。そこで差し当たり心配なことが2つ。

1つは開会式のことです。リオ五輪閉会式での東京五輪のティーザーを見て、ちょっとは期待が持てそうかも?と思いましたが、聞けば、閉会式での演出担当者がそのまま開会式を担当することはまずないという話で残念。それどころか、某ご高齢の演出家に依頼するとか、広告代理店主導でほぼ日本(最大限でもアジア)でしか人気がないようなアイドルや歌手などを投入するなんて恐ろしい話も出ているとかいないとか……。やるからには日本の末代までの恥さらしになるようなものだけにはしないで欲しいと、心から願うばかりです。演出家の知名度にこだわる必要はありませんが、国際的に通用する表現のレベルを理解した、若く瑞々しい感性を持った人(もしくはチーム)が担当するということが必須なのではないかと思います。

もう1つは、東京五輪が終わった後の話です。リオ五輪を受けて、東京五輪に向けて頑張ろう!みたいなスローガンがあちこちで聞かれるようになってきましたが、選手の皆様も、日本経済も、4年後はいいとしてもその後は息切れ状態になり、燃え尽き症候群に陥ってしまうのではないかと今から心配しています。

聞けば、今回のリオ五輪で、イギリスはロンドン五輪の時よりもメダルの数が多かったそうですね。日本のスポーツ界も、日本経済も、4年という期限にこだわらない長期的な視野に立った発展計画が必要なのではないかと思います。

 

ともあれ、今はリオのパラリンピックを楽しみにしています。