たそがれシネマ

最近見た映画など。

こんなのインド映画じゃない(泣)

 

先週末、インド映画の久々の一般公開作として、かの【ムトゥ 踊るマハラジャ】のラジニカーント様主演の【ロボット】が公開されました。

かつて90年代に【ムトゥ…】が異例の大ヒットとなった前後に、インドの娯楽大作映画(サタジット・レイ監督やアラヴィンダン監督などの文芸路線のやつではない)が何本か公開されましたが、その後はラジニ様の作品が稀に公開されるだけになり、最近はそれすら無くなっていたので寂しく思っていたところでした。

今回、割と好きな物書きの人々の何人かが褒めているらしいという話も聞き、期待に胸を膨らませて見に行ったのですが……なーんか妙な暗転が多いし、なーんか全体的に無機質で薄味。お楽しみのミュージカル・シーンもなーんか全然物足りない。大体、インターミッション(途中休憩)が来るタイミングが早すぎる……しまった、これはやられたか !? 帰って調べてみると案の定、オリジナル・バージョンが177分なのに対し、劇場で見せられたのは139分で、40分近くも短いバージョンだったのでした。バカヤロー !! こんなのサギだろ !! 貴重な金と時間を返せ !! と言ってももう遅い。事前にタイムテーブルを見て「あれ ? (インドの娯楽大作映画なのに)上映時間が3時間ないなんて妙だなぁ」と思った時点でもっとよく調べてみるべきだったのです。

今回、短いバージョンを公開することにした配給会社の方々にもいろいろと言い分はあるのでしょう。しかし、あの慣れるとクセになる独特のコテコテの味を泥臭いと言い、あの無意味に派手で豪華な桃源郷の如きミュージカル・シーンを無駄と言って排除したら、インド映画の魅力なんて1/10くらいになってしまうんじゃないでしょうか。何でも、今回カットされたシーンの中には、ラジニ様があのマチュピチュの遺跡で歌い舞い踊るシーンがあるんだとか……うぅ、み、見たい。それを切っちゃうなんてバカなんじゃないの !? それで妙なCGの場面ばかりを残してどーすんのよぅ。インド映画としては新しい表現なのかもしれませんが、それだけをわざわざ見に行くらいなら、ビデオ屋で【トランスフォーマー】でも借りてきて見た方がマシってものです。

今回の公開がもし当たればオリジナルを完全版とかいって公開する話もあるようなのですが、そもそも本来の魅力が削がれたバージョンを見せてヒットを狙おうなんておかしかないですか ? 少なくとも私は、今回無駄に払わされたチケット代が全額返ってくるのでなければ、いくら完全版でももう見に行く気にはなれません。今回のこの公開に関しては、配給側が根本的に何か全く履き違えているのではないかと思われてなりません。