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おばさんシネマ

最近見た映画など。

もっかのベスト5!(2013/05/02)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【藁の楯
(金銭という権力に支配される世界と個人の信念との深刻な相克を図らずも活写したとんでもない大傑作 !! )

 

2.【舟を編む
(辞書編纂という大事業の物語のみならず、仕事に携わることで変化する主人公の成長物語でもある。)

 

3.【天使の分け前
(無駄金を持て余す金持ちはビンボーな若者にセカンド・チャンスを与えてやれという監督の謎掛けかな?)

 

4.【ハッシュパピー バスタブ島の少女
(少女目線に装ってるけど、これもグローバリズムと打ち捨てられた人々との確執の物語なのでは。)

 

5.【セデック・バレ
(戦前の台湾で起きた原住民族による抗日暴動事件を血生臭くもダイナミックに描いた歴史大作。)

 

(次点)【カルテット!人生のオペラハウス
(元音楽家達の老人ホームの物語をこく味たっぷりに描いたダスティン・ホフマン監督作。)

 

(次点)【孤独な天使たち
ベルトルッチ御大の10年ぶりの最新作。この期に及んでのこの瑞々しさはちょっと驚き。)

 

(次点)【戦争と一人の女
坂口安吾の短編を下敷きにした反戦映画。戦争に背を向けて愛欲に溺れるってちょっと【愛のコリーダ】みたい。)

 

GWのこの時期、力作が出揃ってます!もしかして今年一番の当たりの時期かもしれません。どれもそれぞれ見応えのある映画ですが、特に【藁の盾】には完全にノックアウトされてしまいました。
孫娘を殺された大富豪に10億円の懸賞金を掛けられてありとあらゆる人々から命を狙われる犯人を九州から東京まで護送する、という大仕掛けのサスペンス・アクションはそれだけで見応えたっぷりなのですが、多くの登場人物一人一人の人間性や背景までも丁寧に描写されており、どこまで行っても人間のクズでしかない犯人と、これをつけ狙う人々と、そんな犯人をそれこそ“藁の盾”として命懸けで守らなければならない警察官と、そんな彼らの運命に隠然と干渉する大富豪とのぶつかり合いは凄まじいの一言でした。大沢たかおさんも、藤原竜也さんも、松嶋菜々子さんも他の俳優さんも、それぞれが素晴らしい熱演を見せており、それぞれがこれまでのベストアクトなのではないかと思えるほどです。
思えば三池崇史監督は、周囲からは必ずしも望まれない信念を貫こうとする人物をこれまでも多く描いてきたように思うのですが、困難な状況の中でもこの信念にすがることでしか自分を保つことができなかった大沢さん演じる主人公の姿には、人間が生きる上で譲ることのできない何かがあるような気がします。それは、自分以外の何かに人生を支配されることから自由でありたい意地であるとか、愛する人に対して胸を張ることのできる自分でありたいという矜恃なのではないかなと思いました。
本作をカンヌに出品しようと言った人は慧眼だと思いますが、今年はハリウッドの大物中の大物であるスピルバーグ監督が審査委員長ということで、作品のエンターテインメント性がそれほど不利には働かないのではないかという気もします。ライバルも強力な映画ばかりではありますが、これはひょっとしたらひょっとしたりしないですかねぇ。

 

さて今回は、上記以外にも以下のような作品が気になりました。

 

【闇の帝王DON ベルリン強奪作戦】【タイガー 伝説のスパイ】【命ある限り】はインド映画特集『ボリウッド4』の3作品です。どれも力作なのですが、個人的には、今までのボリウッド映画の定石を覆すようなシャープな印象の【闇の帝王…】が一番お勧めでしょうか。【命ある限り】のメロドラマ優先の強引な展開は片目をつぶって楽しむ必要があると思いますし、【タイガー…】はスパイものではなく恋に落ちたスパイの逃避行劇だったので、いささかずっこけました(笑)。サルマーン・カーンさんは超カッコイイですけどね。

 

図書館戦争】は、とても真摯に作られた娯楽作だと思いますが、この特殊な設定は二次元までが限界じゃないかなと個人的には思います。だって実写だと、こんな税金の無駄遣いを許容するような矛盾した法律がどうして放置されているのかとか、メディアの良化なんてそもそも誰が判断するのかとかいった実際的な疑問がどうしても頭をもたげてきてしまい、結局、ドンパチやアクションやラブコメを描く口実としてこの素材が使われているのに過ぎないのかなという印象が拭えなくなってしまうのです。
ともあれ、岡田准一さんのこのムダに高い戦闘能力を誰か何とかしてあげて欲しいです!例えば、ジェット・リードニー・イェンを日本に招聘して三池崇史監督でアクション超大作を作るというのはどないでしょう。

 

リンカーン】には、奴隷制度の廃止を謳う米国憲法修正第13条の成立を巡る攻防がこと細かく描かれています。それは民主主義の歴史上重要な事柄だったというスピルバーグ監督の主張は分かりましたが、議会内のあーだこーだがメインでは、映画としてのダイナミズムには若干欠けているような気もしました。

 

ウィ・アンド・アイ】はミシェル・ゴンドリー監督の最新作です。下校中のバス車内で繰り広げられる高校生達の人間模様……にあまり興味が持てないのは、【桐島、部活やめるってよ】の時と同様、自分の高校時代にあまり芳しい思い出がないという完全に個人的な理由によるものだと思います。本当にどうもすみません。

 

桜並木の満開の下に】は、最愛の夫を死なせた青年に次第に心惹かれていくというストーリーを丁寧に描いているのですが、元々の話の無理さ加減がところどころ制御しきれていないようにも思われ、更なる丁寧さが必要だったのではないかと思いました。でも臼田あさ美さんの女優力は、映画ファンならチェックしておくべきではないでしょうか。