たそがれシネマ

最近見た映画など。

もっかのベスト5!(2013/09/07)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【RETURN(ハードバージョン)
(暴力的過ぎだから万人向けじゃないけど、こりゃ【KAMIKAZE TAXI】以来の大傑作なんじゃない?)

 

2.【ゼンタイ
(全身タイツフェチの存在を知った時の衝撃は忘れられない。何と橋口亮輔監督の最新作。)

 

3.【夏の終り
(理解できるかどうかと言えば全然分からない(^ ^;)。でもこの濃密な空気感を構築しているのはもの凄い。)

 

4.【日本の悲劇
(年金などの公金不正受給。弱い人がまともに暮らしていけない社会であることにそもそもの問題が。)

 

4.【ジンジャーの朝 さよならわたしが愛した世界
(欧米人の核への恐怖感って大体観念的。でもスウィンギング・ロンドン以前の時代感覚の描写は新鮮。)

 

4.【美輪明宏ドキュメンタリー 黒蜥蜴を探して
美輪明宏ウォッチャーなら大体知ってる内容だけど、紅白で初めて美輪さんの歌を聴いた皆様にはお勧め。)

 

ジャック・ケルアックの『路上』、学生時代に読んでみた時もさっぱり意味が分かりませんでしたが、今回映画になった【オン・ザ・ロード】を改めて見てみて、やっぱり全然入っていけないと思いました。『路上』といえばアメリカの50年代のビート・ジェネレーション文学の代表作であり、60年代のカウンターカルチャーの聖典になったということですが、自分の人生のどの部分もこれらと重ならないし、こうした要素を必要としていないからだと思います。まぁ、きっとどこかの誰かが必要としているからこそこの映画は成立したのであり、それはそれでいいのだろうと思いますが。

 

閑話休題。

 

宮崎駿監督の引退会見の生放送を見るために、ついにニコニコ動画に会員登録してしまいました(……う~ん、川上会長の思うツボだぜ)。時々頓珍漢な質問もあったけど、いろんな疑問に真摯に答えて下さっているいい記者会見でしたね。我が家では監督が痩せていらしたのを心配していたのですが、アニメ制作のために体力を温存すべく外食を止めて奥さんの手弁当を食べるようになったからとのことで、ひとまず安心しました(笑)。これからも違う形でのお仕事は続けられるとのことなので、一ファンとしてぼちぼち拝見させて戴ければと思います。(でももし気が向いたら、前言なんてあっさり撤回して短編でも長編でも好きなものを創って戴いても一向に構わないと思います。)

 

しかし、日本映画界としては大変大きな痛手ですよね。最大の稼ぎ頭を失ったという即物的な面以上に、あのように影響力の大きい誠実な作り手の一人を失ったということが、これから先、ボディーブローのようにじわじわ効いてくるのではないかと思います。かつて、かの淀川長治さんが不在になり、その視線が失われてしまってから、映画の質そのものにどこかでこだわるという姿勢が日本の映画界から少しずつ失われていったように記憶していますが、それと同じようなことがこれからまた起こるのではないかと思います。

 

宮崎監督の引退に絡めて【ガッチャマン】の敗因について書こうかと思っていたのですが、全く筆が進まないのでやめました。魂を持たない映画の話と宮崎監督の話ではあまりにも釣り合いません。しかし、ああいう映画を作るのは本当に止めてあげて欲しい。仕事を断る立場になくひたすら真面目にやっている役者さんたちが本気で気の毒です。