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おばさんシネマ

最近見た映画など。

マンデラさんは偉かった(と思う)。

 

外国の政治家が亡くなったと聞いても普通は「ふぅん」と思うのが関の山なのですが、先日、南アフリカ共和国ネルソン・マンデラ氏が亡くなったと聞いた時には、一抹の寂しさを感じました。これは、自分が映画を大量に見始めるようになった時期と、世界的に反アパルトヘイトの気運が高まってきていた時期、つまり反アパルトヘイト的な映画がいくつか作られ、それらを見て衝撃を受けていた時期がちょうど重なっていたせいなのではないかと思います。

そこで、マンデラ氏追悼の意味を込め、マンデラ氏や反アパルトヘイト運動に関連する映画を、覚え書きとしていくつか挙げてみたいと思います。

 

まず、何と言っても忘れてはならないのは、リチャード・アッテンボロー監督のイギリス映画【遠い夜明け】(1987年、原題:【Cry Freedom】)でしょう。当時いろいろな賞にもノミネートされ、世間的にも最も有名なのではないかと思います。本作は、マンデラ氏と同様の黒人解放活動家であり、獄中で拷問死させられてしまったスティーヴン・ビコ氏を、彼を支援していた白人新聞記者の視点から描いた映画です。このビコ氏を演じていたのがデンゼル・ワシントンで、これが彼の出世作となりました。

なお、このビコ氏を歌ったピーター・ガブリエルの『ビコ』という曲のPVにこの映画の映像が使われているため、私はてっきりこの映画の曲だと思っていたのですが、この曲は映画より7年も早い1980年に作られており、当時、映画に合わせてPVを作り直して再発したのだということでした(知らんかった (^_^;))。

 

この後の時期に立て続けに見たのが【ワールド・アパート】(1988年、原題:【World Apart】)と【白く乾いた季節】(1989年、原題:【Dry White Season】)です。前者はイギリス映画で、後者は一応ハリウッド映画ですが、どちらもシリアスな佳作であったように記憶しています。ただ、【遠い夜明け】もそうですが、これらは白人を主人公とした白人資本の映画であり、あくまでも白人目線でしか語ることができないという限界があったのは、仕方ないとはいえ少し残念だったかもしれません。(ただ、【白く乾いた季節】のユーザン・パルシー監督は、仏領マルチニック出身の黒人女性監督でしたが。)

 

少し毛色の変わったところでは、反アパルトヘイト問題を扱ったブロードウェイ・ミュージカル『サラフィナ!』を映画化した【サラフィナ!】(1992年、原題:【Sarafina! The Sound of Freedom】、製作国:イギリス/ドイツ/南アフリカ)なんて映画もありました。これらの作品には実際の南アの子供達が出演していましたが、主役の少女を差し置いて脇役のウーピー・ゴールドバーグが一番にクレジットされていたのはまぁご愛敬(笑)。元がミュージカルなので、内容的にもかなり穏健というか食い足りない部分もあった印象があるけれど、今見てみると一周廻って感慨深いものがあるかもしれません。

なお、この舞台版の方のキャストやスタッフへのインタビューをまとめたドキュメンタリー【サラフィナの声】(1988年、原題:【Voices of Sarafina!】、製作国:アメリカ)なんて映画もあり、当時はこちらの方がおもしろく感じたように記憶しています。当時は、サイモン&ガーファンクルのポール・サイモンが南アの黒人ミュージシャンとアルバムを作ったり、セネガルユッスー・ンドゥールのアルバムが世界的にヒットしたりして、アフリカ発の独特な旋律が欧米のポップ・ミュージック界に新鮮な驚きを与えていた時代でしたが、これらの映画で流れる少女達の歌声の独特な旋律や迫力にも、とても強烈なインパクトがありました。

 

この後、アパルトヘイトは1994年に撤廃されます。その後も【輝きの大地】(1995年、原題:【Cry, the Beloved Country】、製作国:アメリカ/南アフリカ)、【輝く夜明けに向かって】(2006年、原題:【Catch a Fire】、製作国:フランス/イギリス/南アフリカ/アメリカ)、【マンデラの名もなき看守】(2007年、原題:【Goodbye Bafana】、製作国:フランス/ドイツ/ベルギー/南アフリカ)などの映画が制作されていますが、私はどれも未見です(すいません)。

 

ただ、つい先年のクリント・イーストウッド監督作【インビクタス/負けざる者たち】(2009年、原題:【Invictus】)には、アパルトヘイト撤廃後に白人への報復的な政策を取ることなく人種間の融和を目指したネルソン・マンデラ氏の姿が描かれており(モーガン・フリーマンが熱演してましたね)、新たな感動を覚えました。

ツォツィ】(2005年、原題:【Tsotsi】、製作国:南アフリカ/イギリス)などの映画に描かれているように、南アの国内にはまだまだシビアな状況が厳然と残っているのかもしれませんが、マンデラ氏が掲げたような理念をこれからも国の建設に活かしていって欲しいなぁなどと思ったりします。

 

余談ですが、【インビクタス】と同年に制作された【第9地区】(2009年、原題:【District 9】、製作国:アメリカ/ニュージーランド)は南ア出身のニール・ブロンカンプ監督の作品で、この映画で宇宙人たちが言われなき差別を受ける姿はアパルトヘイトに着想を得ていると言われていましたね。

 

現在、アメリカなどでは、マンデラ氏の自伝を原作にした【Mandela: Long Walk to Freedom】が公開になっているようですが、日本でももし公開が決まったら、是非映画館に駆けつけたいと思います。