たそがれシネマ

最近見た映画など。

最近見た映画 (2016/03/11版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

十字架
いじめ、ダメ。ゼッタイ。は当然ながら、周りの人々が当人の死により負った傷とどのように向き合っていくのか、と部分を丹念に追っているところが素晴らしい。永瀬正敏さんは日本映画界の至宝になりつつあると思う。

 

キャロル
1950年代のアメリカで愛を貫こうとした女性カップルの話。ケイト・ブランシェット様の美しさと優美さが筆舌に尽くしがたい!純真でひたむきな女に見事に化けているルーニー・マーラさんも初めていいなと思った。

 

オデッセイ
独りで置いてけぼりになった火星から帰還を果たそうと頑張るこの話に、この邦題は悪くない。手に汗握り拍手を送りたくなる王道的展開が白けることなく楽しめる、正しいハリウッド映画。

 

牡蠣工場
想田和弘監督作品を初めて見た。地方の肉体労働の現場を映し取ると、外国からの出稼ぎ労働者=グローバル化の話が漏れなく含まれる。おそらくこういうことが日本全国で起きているのだろう。

 

ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年
同じ阪本順治監督の【BOXER JOE】から約20年。ボクシングにはほとんど興味ないけど、「辞める理由が分からない」という辰吉さんにえも言われぬシンパシーを感じてしまう。最近は長く現役を続けるアスリートも増えていることだし、気が済むまでやってみたらいいのでは。自分の人生なんだから。

 

ディーパンの闘い
戦火を逃れるために赤の他人の女性と少女で家族を装ってフランスにやって来た元兵士の“心の戦い”。何故かしら古き良き時代の坂本龍一氏の『フロントライン』が頭の中でリフレインしていた。

 

断食芸人
“長期海外出張中”だった足立正生監督が、現在の日本をポップとかポピュラリティとかポピュリズムという切り口で解釈するとこうなるらしい。独特の表現は買うけれど、不用意に強姦シーンを入れたがるこの時代のおじ様特有のクセだけは直して戴けないものだろうか。

 

火の山のマリア
グアテマラの映画はおそらく本邦初公開。どいつもこいつも、ろくな男が出てきやしねぇ。彼等に運命を左右されてしまうグアテマラ女性の現状は暗い、という批判が込められているらしいのだが。

 

不屈の男 アンブロークン
元オリンピック選手が戦争に行ってどれだけ苦労したか、という話でしかなく、これを反日映画だと言って騒いでる方々の思考回路は理解に苦しむ。【戦メリ】の部分的パクリっつって揶揄するならまだ分かるけど。

 

シェル・コレクター
貝類というのはモチーフとして何だかエロティック。リリー・フランキーさんのよれよれ爺ぃっぷりがいいなぁと感じるのはちょっとマニアック?

 

 

他にはこんな映画なども見ました。

 

スティーブ・ジョブズ
バイオグラフィを懇切丁寧に描いたタイプの映画とは違うので、少なくとも、スティーブ・ウォズニアックジョブズと一緒にアップル社を立ち上げた元盟友で、ジョン・スカリージョブズがアップル社に引き抜いた元ペプシの幹部でジョブズをアップル社から追放した張本人だということくらいは知っていないと、ちんぷんかんぷんなのではなかろうか。

女が眠る時
古めかしいタイトルだなぁと思ったら、内容も古めかしい感じだった。今はもう21世紀で、観客の半分は女なんだから、観念としての女を描こうとすること自体の古くささにそろそろ気づいた方がいいと思うのだが。

ヘイトフル・エイト
レザボア・ドッグス】と似ているという意見を聞くけれど、私は全然違うような気がする。かの映画からは洒落っ気と茶目っ気が失われ、ここにあるのは剥き出しの増悪だけ。ここ何作かのタランティーノ映画に個人的に心が躍らなくなった理由に少し思い当たった気がした。

 

 

かの【マトリックス】の監督のウォシャウスキー兄弟はウォシャウスキー姉弟になりましたが、この度、ウォシャウスキー姉妹になったということです。……詳しいことはよく分かりませんが、心のままに生きるということはいいことなんじゃないかと思います。