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おばさんシネマ

最近見た映画など。

最近見た映画 (2016/07/09版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

葛城事件
理解しがたい頑迷さと虚勢。独りよがりな視野の狭さと自己中心性。私はかつて、こういうおっさんが、世の中のすべての不幸の元凶だと思っていた。赤堀雅秋監督の名を今すぐ日本の現役トップ10監督の1人として記憶すべきだ。

 

日本で一番悪い奴ら
目的と手段を完全に履き違えた昭和の体育会系のおっさんの行動原理を延々見せつけられても、正直、馬鹿なんじゃないの?という感想しか浮かんでこないが、結局組織に利用されただけのこの男の悲哀を、北海道警察の腐敗もろともコメディにしてみせた、白石和彌監督の発想と手腕に脱帽せざるを得ない。

 

シリア・モナムール
崩れ落ち行く世界の中で、映画だけが二人を“人間であること”につなぎ止める。映画としての完成度はともかく、同時代の当事者の撮った映像をこの場で構成して作品として世に問うということの圧倒的な重みを感じた。

 

マネーモンスター
よく分かってないのに株に全財産注ぎ込むなよ~とも言いたくなるが、実際、アメリカではこれに近い人も少なくないのかもしれない。行き過ぎた新自由主義に翻弄される社会の歪みを約100分のリアルタイム・サスペンスに凝縮させてみせた、監督としてのジョディ・フォスターさんの力量を見た。

 

64‐ロクヨン‐
これだけの人数の群像劇をしっかり見せきる瀬々敬久監督はやっぱり凄い。しかし、後から冷静に考えてみるに、佐藤浩市さんの役柄はもっともっともっと泥臭いイメージが湧く人の方が、物語がもっと明確に見えてくるのではあるまいか。

 

シチズンフォー スノーデンの暴露
アメリカ政府が国民を監視してると元CIA職員が曝露したスノーデン事件。これ、事件を後追いで検証しているのではなく、この曝露に協力してくれとスノーデン氏本人から頼まれたドキュメンタリー監督がその過程を記録した映画である。本人達は現在アメリカには戻れない状態だというが、それを覚悟でこんなことをやってしまう人々が現れるところが、アメリカという国の本当の凄さなのではないだろうか。

 

ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン
ジェームス・ブラウンという人は、パフォーマーとしてのみならず、プロデューサーとしてもビジネスマンとしても天才的な人だったのだということがよく分かった。数々のヒット曲や貴重な演奏シーンも満載なので見ても絶対損しません!

 

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ
日本の地獄絵って世界的に見てもかなりユニークな文化なのではあるまいか。これを現代版にアレンジしてまるごと再現してみようとか、どうして考えつくんだろ。そして最後はいつもちょっぴり切ないのが、紛う方なきクドカン流。

 

クリーピー 偽りの隣人
どんな話かと思ったら、北九州事件とか尼崎事件とかをモチーフにしてたのね。ストーリー的にはツッコミどころはいろいろあるけれど、これと似たような話が実際に起こったのかと思うと、正に現代のホラーなのかもしれない。

 

鏡は嘘をつかない
東南アジアの漂海民バジャウ族(バジョ族とも)の少女の物語。グローバル化で平坦化する世界の中で、先祖から続いてきた暮らしをこれからも続けると彼女に宣言させるのは、ファンタジーとして麗しくも危うすぎるんじゃないだろうか。

 

裸足の季節
序盤はトルコ版【ヴァージン・スーサイズ】みたいな印象もあったが、末っ娘の行動力に救われた。こんな話が今でもごろごろしてるらしいというのも、でも若い女性監督がそんな現状を作品化してみせたというのも、どちらも今のトルコを表しているのだと思う。

 

団地
団地の小さなコミュニティを舞台に人間の機微を描く話なのかと思いきや、全く理解不能なとんでもない方向へ……う~んアヴァンギャルド(古)。阪本順治監督、攻めすぎだろ。そして私の考える団地ってこういう場所ではないような気がする……。

 

レジェンド 狂気の美学
イギリスでは大変有名らしい60年代の双子のギャングの物語。一人二役だということを完全に忘れてしまうほどのトム・ハーディさんの演技が凄い。音楽の使い方とかがお洒落で、スウィンギング・ロンドンの時代の雰囲気を感じられるのもいい。

 

今回の映画は力作揃いでした!
特に、【シリア・モナムール】や、自分の中で勝手に『昭和のおっさん3部作』と呼んでいる【葛城事件】【日本で一番悪い奴ら】【64‐ロクヨン‐】(【64…】の舞台はほぼ平成ですが、この主人公の精神が昭和に繋ぎ止められているというお話なのではないかと思います)の中の【日本で一番悪い奴ら】なんかは、見ていて芯から疲れてしまって、実際に何日間か立ち直れなくなってしまったくらいです……。

 

 

今回は他にこのような作品もありました。

 

教授のおかしな妄想殺人】はウッディ・アレン監督の新作ですが、殺人をすることで無気力から立ち直る、という狂気じみた設定があまりに淡々と進んでいくのがシュールすぎ、どう反応していいのやらよく分からない状態に陥ってしまったみたいでした。

ふきげんな過去
小泉今日子さんが爆弾魔という設定や小泉さんと二階堂ふみさんの親子関係にあまりケミストリーが感じられず、二階堂さんが他の出演作に較べ今ひとつ魅力的に見えなかったように思えました。

 

 

今週、アッバス・キアロスタミ監督の訃報を聞きました。
1990年代以降、日本でもかなり多くのイラン映画が公開されるようになったのは、キアロスタミ監督の【友だちのうちはどこ?】が一つのきっかけだったように思います。そして、私がイランという国の文化度の高さを知り、イスラム圏の国の人々にも私達と何ら変わらない感情が流れているのだということを実感し始めたのは、多くのイラン映画を見たことがきっかけであったように思います。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。