たそがれシネマ

最近見た映画など。

最近見た映画 (2016/12/05版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

この世界の片隅に
今年ナンバーワンの呼び声も高い。特に異論は無い。

 

ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気
同性のパートナーに遺族年金を残そうとして戦ったカップルの実話の映画化。性的マイノリティの権利獲得という側面も無視できないけれど、死という別れを前にした二人が愛を完遂する物語でもあるところに、涙せざるを得なかった。

 

ぼくのおじさん
ぼんくらで屁理屈ばっかりで生産性ゼロの、自称哲学者のおじさん。それでも見ていて嫌にならずにほんわか楽しくなってしまうのは人徳なのかな。トボけた味の松田龍平さんとしっかりものの大西利空くんの組み合わせがナイス。

 

カレーライスを一から作る
グレートジャーニー・関野吉晴氏の大学の授業をドキュメンタリー化。命を育むのは大変だということ、私達はその命を戴いて生きていることを再認識。そうしたことを、時間を掛けて少しずつ体感していく学生達の姿自体も面白い。

 

聖の青春
持病のため29歳で早逝した村山聖棋士を描いたノンフィクションを映画化。一日でも長く指したいならもっと節制を…と思わないじゃなかったが、自分の寿命を分かっていればこそ自分を燃やし尽くしたかったのかもしれない、と思い直した。

 

エヴォリューション
女性達が美少年達を監禁して怪しい手術を施す島って、男女逆だったら発禁レベルでは……。好き嫌いははっきり分かれると思うが、この独創性は他に類を見ない。壮絶なまでに美しい海中の景色がまたおどろおどろしい。

 

ジュリエッタ
不幸な誤解や偶然が重なった結果、子供と行き違って失踪までされてしまうなんて、親から見たら完全にホラー映画かもしれない。あからさまな悪意で場をかき乱す、アルモドバル作品ではお馴染みのロッシ・デ・パルマ先生がコワい。

 

オケ老人!
間違ってご高齢者ばかりの激ヘタ楽団に入ってしまった主人公を杏さんが演じるコメディ。いくつかの伏線もきれいに回収されててとてもウェルメイドだったけど、途中でいきなり上手くなってしまうところだけちょっと気になったかな。

 

ブルゴーニュで会いましょう
ブルゴーニュの家族経営のワイナリーって、それだけで心ときめく舞台設定だわね~。お話は少々都合よく進み過ぎな気もするけれど、ブルゴーニュのワイン造りの雰囲気が味わえるのは素敵。隣家の名醸造家のマダムがかっこいい。

 

ミュージアム
小栗旬さんが仕事仕事で家庭が崩壊している旦那の役というのは新しいと思ったが、猟奇殺人もの自体には食傷気味かも。どの作品でもショックを与えることばかりが大事で、結局、殺人の動機を後付けするのに四苦八苦している印象がある。

 

溺れるナイフ
十代特有の十全感とそのほころび。きっとあとしばらくしたら取るに足らないことになるんだろうけれど。細かく見たらいろいろ欠点もあると思うけど、菅田将暉さんや小松菜奈さんの瑞々しさをこれだけ描けていればいいような気がする。

 

五日物語 3つの王国と3人の女
17世紀に書かれたイタリアの寓話を【ゴモラ】のマッテオ・ガローネ監督が映画化。人間の果て無き欲望とその対価、がテーマかな?ちょっと取っつきにくいけど、グロテスクでダークなイメージはちょっとテリー・ギリアム監督作品みたい。

 

ジムノペディに乱れる
会う女会う女、みんな股広げて寄ってくるとか、さすがはロマンポルノ、男の夢が満載だ!でも、板尾創路さんからうらぶれた男の色気をここまで引き出してみせた行定勲監督は、やっぱりちょっと凄いかもしれない。

 

雨にゆれる女
過去の悔恨に現在が侵食され引き摺られていく。下手すると煮ても焼いても食えない自己陶酔型ハードボイルドになりかねないところを、青木崇高さんが血肉化させていいバランスで成立させていたのでほっとした。

 

この世界の片隅に】の感想はまた後日アップさせて戴ければと思います。

 

今回は他にこのような映画も見ました。

誰のせいでもない】はヴィム・ヴェンダース監督の新作ですが、理由はどうでも、煮詰まる作家の話というのはちょっとお腹いっぱいかもしれません……。

湾生回家】は、戦前に台湾で生まれ育ち終戦時に引き揚げてきた「湾生」の人達を追ったドキュメンタリー。多くの人が今でも台湾に強い郷愁の念を抱いているということを知り、日本と台湾の独特な結びつきの礎はこのようなところにもあるのかと思いました。

疾風ロンド】はヒドいですね~。何万人も殺せるような炭疽菌が流出、なんて事態になったら、普通の感性を持ってる科学者なら、自分達だけでなんとかしようとせずに真っ先に警察に駆け込むとかするんじゃないすかね。阿部寛さんの出演作でここまでハズしたと感じたものは今まで無かったんですけどね……。