最近見た映画 (2017/02/25版)
最近、こんな映画を見ました。
【沈黙 サイレンス】
個人的にはマーティン・スコセッシ監督の最高傑作なんじゃないかと思う。もしかしたらこのまま今年No.1になってしまうかもしれない。
【サバイバルファミリー】
おそらく、先の震災時に停電で右往左往したひ弱な都会の人間(私も含め)がモデルだけど、電気がなくなったらどうなるかというのは非常に重要な思考実験だろうとは思う。ついでに家族の絆を再構築する話でもある。
【牝猫たち】
デリヘルで働く三者三様の女性達。ふわふわと実態のない今の社会のある側面が彼女達に投影されている、と思って見ると興味深い。個人的には今回の日活ロマンポルノのリブート企画の中で一番面白かった。
【未来を花束にして】
イギリスの女性参政権運動を描いた物語。女に政治を考える能力はな~い !! という有形無形の様々な攻撃にどっと疲れる。何故か【マルコムX】を思い出し、権利獲得の歴史とは戦いの歴史である、としみじみ反芻した。
【ショコラ 君がいて、僕がいる】
20世紀初頭のフランスで、差別や偏見に翻弄され時代の波に消えていった天才黒人芸人ショコラ。白人の相方との一筋縄ではいかない関係が切なかった。
【恋妻家宮本】
妻への愛を再確認する中年男。遊川和彦先生はもしかして、原作などの縛りがあった方が突飛な方向に走りすぎなくていいのではあるまいか。
【海は燃えている イタリア最南端の小さな島】
アフリカや中東からの難民の波に晒される島の人々の静かな生活。思うところのあった皆様には【海と大陸】や【13歳の夏に僕は生まれた】などをお勧めしてみる。
【ANTIPORNO】
何かを語り出す前にイメージ映像の羅列で終わってしまった印象。園子温監督、これなら引き受けない方がよかったのでは? でも昨今“平凡な中年女性のエロス”市場を一手に引き受けている筒井真理子先生だけでも見る価値はあるかもしれない。
【たかが世界の終わり】
家族内に軋轢があったりするなんてよくある話よねー、という私なら1分で終わってしまう話を100分に引き伸ばすのがグザヴィエ・ドラン・クオリティ。でもこれまでの同監督作の中では本作が一番好きだったかな。
【雨の日は会えない、晴れた日は君を想う】
愛が醒めていた妻を事故でいきなり失った男の逡巡に寄り添う。地味と言えば地味。この男がジェイク・ギレンホールさんでなければ成立しなかったかもしれない。
【ゾウを撫でる】
映画を作る様々な人々を丁寧に描いた群像劇。もう少し強めのキャラやエピソードを核にした方が遡及しやすかったのでは?と思うけど、佐々部清監督は敢えてそういうのではない方向性で描きたかったのかな?とも思う。
今回はこの他に、【人魚姫】(チャウ・シンチー監督)【なりゆきな魂、】【島々清しゃ(しまじまかいしゃ)】などの作品も見ました。【愚行録】や【ホワイトリリー】はイマイチだったかな。
今回は家族が一瞬入院してしまったりして、思った以上に更新が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。それにしても。今年は見る本数がぐっと減りそうだという予感はありましたが、思った以上かもしれません。
ところで、清水富美加さんのことが少し騒がれていますね。伝えられている情報から想像するに、彼女を広告塔にしたかった宗教団体側と、彼女がいた芸能事務所側の思惑が一致せず、双方であることないことをぶつけ合っている状態に見えるのですが、どうなのでしょう。
私はこの件に関して言いたいことが1つだけありました。私は、彼女が朝ドラの後に出演していたテレビ東京の『SICKS』というドラマの、マユきち先生役が大好きでした。この役を演じる彼女を見て、この人はなんて感受性に溢れていてなんて才能があるんだろう、と感動に近いものを覚えたことが忘れられません。だから、彼女がかつて携わったいくつかの仕事に関してネガティブな発言をしているのを聞き及び、もし彼女がこのドラマの仕事のこともあまり好きではなかったとしたら、それはとても悲しいかもしれない、と思いました。
芸能界という特殊な世界にいれば、本当に吐き気がするような嫌な仕事だって少なかならずあるのかもしれない、ということは想像に難くありません、が、それを口に出すのはよくよく考えてからにしてもらえないものでしょうか。芸能界は夢を売るのが仕事だし、かつてそこに携わることになった過程には自分自身の意志が少なからず介在していたはずですから。だからと言って総てをただ黙って我慢しろと言っているのではありませんけれども。
鈴木清順監督のご冥福をお祈り申し上げます。宮崎駿監督、新作お待ち申し上げております。YOI熱は続行中。毎度とりとめがなくてすみません。