たそがれシネマ

最近見た映画など。

もっかのベスト5!(2014/02/01)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【エレニの帰郷
(自分が映画に求めるすべてがここにあるのだなぁ、と思った。)

 

2.【鉄くず拾いの物語
(お金がない人への診療拒否。日本でももうすぐ普通のことになりそうで、情けないやら悲しいやら。)

 

3.【小さいおうち
(戦前の東京・山の手のモダンライフは山田洋次監督の原風景なんだろう。ストーリーは話半分でいいかな?)

 

4.【ヌイグルマーZ
しょこたんを主演に据えてもどこまでもB級な井口昇監督が清々しい。武田梨奈さんのブレイクを期待したい!)

 

5.【ジャッジ!
(仕掛けいっぱいのアップテンポな展開に抜群の俳優陣。実は映画の基本にとても忠実なのではなかろうか。)

 

(次点)【旅人は夢を奏でる
ミカ・カウリスマキ兄さんの監督作は久しぶり。いい意味で力の抜けた作風でなごむなぁ。)

 

(次点)【グォさんの仮装大賞
(日本の『仮装大賞』の中国予選!養老院のお年寄りが行き場のなさに苦しむ話って最近多い気がする。)

 

現在、『Hal is back! Hartley』というハル・ハートリー監督の特集上映をやっているので、最新作の【はなしかわって】を観てきました。ハル・ハートリー監督と言えば、今は無きシネヴィヴァン六本木(今の六本木ヒルズ界隈の一画にあった)のクロージング作品が監督の【ヘンリー・フール】でしたね。あの頃と変わらない、ちょっとアウトサイダーな人達の優しい世界。思えば3.11以降、日本にはこういうアジール的な空気感の居場所がなくなってしまったような気がしてなりません。

 

あと、もう終了してしまったのですが、恵比寿の東京都写真美術館『手仕事のアニメーション』という特集で、【ALWAYS 三丁目の夕日】などを手掛けたROBOTや白組の短編アニメ【ゴールデンタイム】【タップ君】を、米国アカデミー賞短編アニメ賞の受賞作【つみきのいえ】との併映で上映していました。短編映画はいかに名作であっても上映機会が限られてしまうので、こういうカップリング上映は嬉しいなぁと思いました。

 

エレニの帰郷】を観ながら、私が映画に求めるすべてがここにあるのだなぁ、と思いました。20世紀の様々な事象を縦断する一大叙事詩ともいうべき内容なので、歴史的な予備知識もある程度は必要ですし(私も全部分かっている自信は全く無い)、同一シークエンスの中で演者がいきなり違う時空にトランスしたりもするので、一見して分かりにくい部分もあるかもしれません。でも、分からないのであれば分からないなりに、そこに“分からない何かが存在している”こと自体を見つめることも、時には必要なのではないか。そうして自分が未だ知らない何かについて思いを馳せることが、自分の認識の限界を少しずつ広げていくことに繋がるのではないかと思うからです。
アンゲロプロスケン・ローチ大島渚、カサヴェデス、タルコフスキー……時には背のびもしながら観た数々の映画が、今まで見たことの無かった地平をどれだけ幻視させてくれて、カスカスな自分の人生にどれだけ豊かなビジョンを与えてくれたことでしょう。でも、あの頃好きだった多くの監督さんが既に鬼籍に入り(ケン・ローチ監督はまだご存命ですが、今後の新作の数は多くはないでしょう)、アンゲロプロス監督ほどの巨匠の遺作が製作から6年、監督の逝去から2年も経って、大手会社の社長の一存でお情け的にしか公開されないという現状の貧しさを思うにつけ、映画を観るのはこれでもう最後にしてしまってもいいのかもしれない……という思いがふと頭をよぎりました。

いや、やめないけどね。この映画から30分後には梨奈ちゃんカッコイイ-♪って言いながら【ヌイグルマーZ】見てたしね。