たそがれシネマ

最近見た映画など。

もっかのベスト5!(2014/09/05)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【水の声を聞く
(新興宗教をテーマにいろいろと胡散臭いものを活写した山本政志監督の新作。すみません、私、監督のファンでして……。)

 

2.【プロミスト・ランド
(地方経済の地盤沈下っていずこでも大問題。カネを投入すれば済む話じゃないというのも同じ。)

 

3.【TOKYO TRIBE
(熱量では間違いなくNo.1。いろいろ過剰すぎてついていけなくて、オバサンはちょっと疲れました……。)

 

4.【NO
(ミゲル・リティン監督の【戒厳令下チリ潜入記】を思い出した。ピノチェトも既に過去の人なんて感無量。)

 

5.【リトル・フォレスト 夏編・秋編
(こんな生活が可能かどうかは、かなり疑問。でも出てくる食べ物が皆美味しそうなのに負けた……。)

 

(次点)【リヴァイアサン
(ある漁船を追い掛けたドキュメンタリー、というより不思議な美しさと禍々しさに満ちたイメージ映像。)

 

(次点)【ローマ環状線、めぐりゆく人生たち
(ローマ環状線(日本で言うと圏央道?)周辺で生活する人々という共通点で切り取った人生カタログ。)

 

4位の【NO】は、チリのピノチェト軍事政権を崩壊させた1989年の国民投票時に、反政権派のテレビCMによるキャンペーンが効を奏したという実話に基づく話なのだそうです。ピノチェト政権にまつわる映画と言えば、上記の戒厳令下チリ潜入記】の他に、コスタ=ガヴラス監督の【ミッシング】も有名ですね。ピノチェトによる軍事クーデターと政権の成立にアメリカ軍が関与していたという疑惑をアメリカ市民の視点から描いた名作でした。他に、ロマン・ポランスキー監督の【死と処女】はピノチェト政権による市民への拷問がモチーフとなっており、ビレ・アウグスト監督の【愛と精霊の家】は軍事クーデターが時代的背景になっています。ピアソラがサントラを担当している【サンチャゴに雨が降る】は未見なのですが、軍事クーデターそのものを描いた映画なのだそうです。また、お隣のアルゼンチンの【オフィシャル・ストーリー】は、国は違いますが、軍事政権による市民への弾圧を描いている点では共通項があり、参考になるのではないかと思います。

 

今回は他に以下のような映画も見ました。

 

ホットロード】は、どう作っても批判を免れ得ない運命にある作品であるように思われますが、原作を未読なこともあってか、個人的にはそんなに悪くなかったというか、結構健闘しているのではないかと思いました。ただし、主演の能年玲奈さんを含め、登場人物が全員年を食いすぎなのではないでしょうか……。原作者の紡木たくさんが、能年さんならということで映画化をOKしたという話を聞いておりますが、いくら能年さんが童顔で、演技も悪くなかったとはいえ、一応ハタチも越えている女性なのですから、14歳というのは無理があると思いました。

 

昨今、インド映画がちょっと流行っていますよね。配給者の方々の努力の賜物かとは思いますが、おそらく、映画業界全体の不景気と買い付け価格高騰による作品不足も影響していて、インド映画であれば価格の割にいい作品が入手できるという事情もあるのではないかと思います。
バルフィ!人生に唄えば】もインド映画で、一般的には評判も上々のようです。ただ私は、『Mr.ビーン』と【アメリ】を足して3で割ったような印象がどうしても拭えなくて、今ひとつ感情移入ができませんでした。ヒロインの煮え切らない態度もなんだかなー……と思っていたら、彼女はヒロインと言うより狂言回しだったので、まさかの展開でビックリしましたが。