たそがれシネマ

最近見た映画など。

【シン・ゴジラ】は究極のお仕事映画だ。

 

シン・ゴジラ】 については、もう既にいろんな人がいろんなことを書いていらっしゃいますが、やっぱり私にも少しだけ書かせてください!

 

最初、一瞬、官僚や自衛隊ばかりをかっこよく描きすぎでは?と思いましたが、現在の日本に実際にゴジラのような災厄が現れたとしたら自衛隊以外に対処できる機関はなく、その自衛隊を制御できるのは政治家や政府だけなのだから、こういうストーリー展開になるのはある意味当然の帰結なのだろうと思いました。

 

主役の矢口蘭堂みたいな官僚は、人間性はどうでも、やることをちゃんとやってくれる官僚がいればいいな、という理想像なのだと思います。実際、官僚には、鼻持ちならない人間性と崇高な使命感が奇妙に同居している人が少なくないという印象があります(自分が知っている範囲内のごく少ないサンプル数で、しかも全員がそんなではありません。どうもすいません。)。ただ、それほど優秀な人がそうそう存在しているのかどうかは?そんな人がたくさんいるようなら、例えば、日本の借金が1000兆円を超える額に膨れ上がったりはしなかっただろうと思われるので……。

 

会議のシーンが多いのは、多くの方のご指摘の通り、日本で実際に物事を動かそうとしたら、一見無意味にも見える無数の会議が欠かせないということの正しい描写なのだと思います。そうして、実際にありそうな手順を踏んで、実際に何とか実施できそうな幾多の仕事を積み重ねることでゴジラを倒すからこそ、この映画は、仕事をすることで社会に関わった経験がある人間にとって胸熱なのだと思います。

 

それぞれの人がそれぞれの持ち場から1つの大きなプロジェクトに関わってこれを成し遂げる。そういう意味で、私がこの映画を見て真っ先に思い出したのは、矢口史靖監督の【ハッピーフライト】でした。
シン・ゴジラ】はいろいろな見方を許容してくれる映画だと思いますが、私がこの映画を“究極のお仕事映画” でもあると思ったのは、そのような理由からでした。