最近見た映画 (2017/09/18版)
最近、こんな映画を見ました。
【散歩する侵略者】
人間から“概念”を奪う宇宙人を想定した思考実験。個人的にこれが黒沢清監督の最高傑作だと思うのは、今までの作品の中で最もストレートに愛を描いているから。女優として完全に第二期に突入した長澤まさみさんの勇姿も目撃しておくべき。
【幼な子われらに生まれ】
これだけ離婚や再婚が当たり前になっているのに、離婚や再婚のその後を描いた家族ドラマはまだまだあまりにも少ない。そんな時代の一つの雛型になれる作品だと思う。浅野忠信さんや田中麗奈さんの新境地も見逃せない。
【おクジラさま ふたつの正義の物語】
結局【ザ・コーヴ】はコワすぎて見ていない……。海外の人達の一方的な物言いは本当にどうかと思うけど、日本側も意見があるなら、分かってもらえないとイジけてないでもっと発信していかなければ。そして私は、捕鯨を続けてる千葉の県民の一人として、鯨を食べる機会をもっと増やそうと思いました。
【パッション・フラメンコ】
カルロス・サウラ監督の【フラメンコ】はど定番のクラシックとして、それ以来最も興奮したフラメンコのドキュメンタリー。フラメンコってこんなふうに進化してるのか。脂の乗りきった40代のサラ・バラスのカッコよさが筆舌に尽くしがたい。
【三度目の殺人】
裁判をテーマにした現代の『藪の中』。被告の男の言うことをどう捉えるかで解釈が変わる。コレエダ版の【羅生門】だと宣伝すれば、海外の映画祭でももっとアピールできたのでは?ただ、自分の運命を諦めちゃっているような被告の男のメンタリティは、どのみち海外の人にはウケにくいかな?
【エル ELLE】
自分以外は何一つ信用しておらず、強姦という目にあってすら自分一人で解決しようとする。決してお綺麗ではなく、善人でも極悪人でもなく、あるがままに我が道を行く“彼女”。こういう女をわざわざ描こうとするなんて、ポール・ヴァーホーヴェン監督はどこまでディープな真性の女好きなんだ……。
【パターソン】
ささやかな日常とささやかな愛で形づくられた個人的領域、から無限に広がる世界。ここしばらくのジム・ジャームッシュ監督作では初期作品のテイストに最も近く、当時の作品群に当てられた世代としてはどストライクだった!
【ベイビー・ドライバー】
のっけから銀行強盗のシーン。そして童顔で無表情の凄腕ドライバーが超絶テクニックで逃げる!ボーイ・ミーツ・ガールあり、キャラの濃い悪党達のピカレスクあり。エドガー・ライト監督ってやっぱり映画の面白さのツボを分かってる!
【新感染 ファイナル・エクスプレス】
列車という走る密室が舞台というのが新機軸。ゾンビものが苦手な私にも楽しめたのは、親子愛や夫婦愛、同胞愛から兄弟愛から自己愛まで、様々な形の愛が描かれていたからだと思う。生き残れた人数は思っていたより少なかったけど。
【ダンケルク】
林修先生の解説CMが大変分かりやすかったのでお勧め。撤退戦を描くというのは戦争ものとしては新機軸だったとは思うけど、どうしてネタ切れになった映画監督は戦争ものに手を出したがるのか。C・ノーラン監督、あなたもですか…と脱力せざるを得なかった。
【禅と骨 Zen and Bones】
【ヨコハマメリー】の中村高寛監督作。京都の天龍寺にはヘンリ・ミトワさんという風変わりな禅僧がいたんだそうな。なんだか破茶滅茶な映画だけど、数奇な運命を辿った一人の日系アメリカ人とその周囲の人々の物語、と思えば興味深いかも。
【ワンダーウーマン】
結局、殴り合って強かった方が勝ちという旧態依然としたマッチョ的世界観の主役を女性にすげ替えただけなんじゃないだろうか……。強いってそういうことなんじゃなくない?そういう形のヘゲモニー自体に世界的に限界がきているんじゃないか常々と思っているのだが。
【月子】
【海辺の生と死】の越川道夫監督作。演技や演出で知的障害をきちんと描けていたのかなぁと思うと多少疑問が残らないじゃない。でも、現実の時間の流れを彷彿とさせるじっくり描かれた“間”の中に、独得の質感が感じられた。
【ボブという名の猫 幸せのハイタッチ】
寂しさから薬に溺れた青年が猫のおかげで立ち直る、というストーリーはかなりベタな気がするけれど、実話ベースならしょうがない。それより、その実話の本物の猫が自身の役で出演しているというのがスゴいんだけど!
【関ヶ原】
原田眞人監督作品って、言いたいことがありすぎて情報量多すぎで、早口で聞き取りづらいことが多い気がするのだが。で、トータルの感想は……『真田丸』の方が面白かったかな……。
今回は見応えのある作品が多かったですね!上からX番目までの映画は漏れなくオススメです!