たそがれシネマ

最近見た映画など。

最近見た映画 (2018/06/11版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

レディ・プレイヤー1
バーチャルリアリティものにオタク文化のエッセンスを真正面からブッ込むという新機軸の離れ業を軽々やってのける映画界のレジェンド、スピルバーグ監督(アラ古希)。監督のネームバリューと資金調達力がなければ決して為し得なかっただろう豪華競演も見逃せない。

 

犬ヶ島
テーマはズバリ「イヌはともだち」。何から何まで素敵なので、円盤が出たら買って1コマ1コマじっくり見返したい。この映画に多大な貢献をしたウェス・アンダーソン監督の友人・野村訓市さんは今後日本映画界の隠れたキーマンになったりしないかな?

 

孤狼の血
孤独な狼の血を継ぐってタイトルなのね!カタギの人を守るためなら違法行為も厭わない行き過ぎた刑事を演じる役所広司さんがどうしてもカッコいい。しかし、続編が決まったと言うけれど、彼なしの続編に果たして意味があるのだろうか……。

 

女は二度決断する
今世界で好きな映画監督を10人挙げろと言われたら、ドイツのファティ・アキン監督を必ず入れる。本作はネオナチのヘイトクライムで夫と子供を失った女性が主人公。トルコ移民二世の監督の様々な思いが込められていると想像する。

 

ジェイン・ジェイコブズ ニューヨーク都市計画革命
ジェイン・ジェイコブズは、ロバート・モーゼスという著名なディベロッパーによるロウアー・マンハッタンを分断する高速道路の建設計画を阻止した人物。ディベロッパーは今も昔も机上の空論に陥りがちで、人間の生理的な感覚を無視しがちという印象がある。

 

ビューティフル・デイ
【タクシー・ドライバー】から更に救いをなくした感じ。だからあの「It's a beautiful day.」と言う科白は“人生は美しい”と言うのと同じくらい重要なのに、単純に“いい天気”だとか訳してたらいかんでしょう。それにしてもホアキン・フェニックス先生ってば、自分の容姿に何か恨みでもあるんだろうか。

 

いぬやしき
日本のCGアクションもここまで来たか。新宿周辺の土地勘がある人は更に楽しめるだろう。高校生とサラリーマンが偶然得たスーパーパワーの使い方で道を分かつという展開もドラマチック。主人公の犬屋敷さんに木梨憲武さんをキャスティングした人は天才じゃなかろうか。

 

モリのいる場所
画家の熊谷守一とその周辺の人々を描いた沖田修一監督作品。昭和の薫りが懐かしい。山崎努樹木希林夫婦の仙人ぶりが、某ジブリ映画を思い出してしまう雑草だらけの庭の佇まいにあまりにマッチする。

 

ファントム・スレッド
天才肌の人にありがちな日常のルーティンへのこだわり。それを放棄してもいいというくらい溺れ込むほどのいい女に見えなかったところがよく分からなかったんだよなー。あと邦題も難あり。でもダニエル・デイ・ルイス様の初老男のエレガントさが筆舌に尽くしがたかったのですべて赦す。

 

のみとり侍
テレビドラマ監督として名を馳せた鶴橋康夫監督、映画ではシリアスより重喜劇的な題材が嵌まるのかも。ストーリーを厳密に追うよりは、理不尽な状況に戸惑う阿部寛さんと恐妻家の伊達男の豊川悦司さんを中心に、雰囲気をふんわり楽しみたい。

 

妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII
今時専業主婦がいるのに旦那が家計を管理するという設定もなんだけど。奥さんが泥棒と鉢合わせたのに無事だったことを喜びもせず文句を言い始めるような旦那とは離婚しろー!奥さんがいなくなったら誰も家事ができないようなバランスの悪い家なんて崩壊しちまえー!と強く思った。

 

心と体と
鹿になって愛し合うという同じ夢を見た男女が現実世界で結ばれるまでを描いた不思議な味わいのハンガリー映画。孤独を抱える心の内をなかなか表に出せない主人公達に親しみを覚える。日本はもっとこういう国と仲良くした方がいいのでは。

 

君の名前で僕を呼んで
美少年と美青年のひと夏の避暑地の恋。ハピエン厨の私はチト辛い。美少年の親が、“失恋は失恋で大事にしような!”的なことを言い、むしろ息子をけしかけかねないくらいの寛容な雰囲気を醸していたのに結構驚いた。

 

海を駆ける
ディーン・フジオカさんの海の精的な役どころはよく分からなかったけど、インドネシアと日本の若い男女4人の交わりを描いた話だと思えば分かりやすいかも。太賀さんと阿部純子さんもいいけれど、インドネシアのお2人も誠実で真面目で素敵だなー。

 

友罪
友人が昔の殺人事件の犯人だったと知った後、自分の昔の“罪”にも向き合うことになる。それぞれの登場人物や1つ1つのエピソードには感情をゆさぶられるけれど、全体として訴えかけてくるものとなると少し弱かったような気がする。

 

シューマンズ バー ブック
伝説のバーテンダー、チャールズ・シューマンが世界中のバーを旅するドキュメンタリー。シェーカーを振るという業だけでカバン1つで世界を飛び回るなんてシビれるな~。日本のシーンも多く、日本がかなりのバー大国だったというのが意外だった。

 

ラッカは静かに虐殺されている
タイトルは、シリアのラッカの壊滅的な状況を映像情報として発信し続ける市民ジャーナリスト集団の名前。ラッカはクルド人勢力により奪還されたが、今度はクルド人とアラブ人の争いが起こっているという。シリアに平和が戻るのはいつの日か。

 

マルクス・エンゲルス
格差が広がり続ける社会にマルクスエンゲルスが再注目を集める今日この頃。ただし本作は、彼等の思想をロジカルに紐解いたりするのではなく、彼等の若かりし頃を物語として描いたもの。当時の時代の雰囲気を知ることができたのはよかった。

 

ザ・スクエア 思いやりの聖域
主人公は現代美術のキュレーター。普通程度にずるかったり疑り深かったりするが、そんなちょっとした人格の欠点のせいで事態が次々に悪化する。そんな意地の悪いプロットが現代の不条理を焙り出しているのはそれなりに面白いけど、これがカンヌのパルム・ドールというのは少し物足りないかも……?

 

サムライと愚か者 オリンパス事件の全貌
オリンパス事件てこういう話だったのかと、頭の悪い私にもやっと少しだけ分かったような。閉鎖的で護送船団方式の日本の経済界は欧米の人々から見れば気持ち悪いものなのかも。まとめて沈み行く泥船になってしまったら困るのだが、もうとっくにそうなってるのかもしれないなぁ……。

 

サバービコン 仮面を被った街
ジョージ・クルーニー監督は、1950年代に白人コミュニティで起こった黒人排斥事件を描きたかったらしいのだが、そこに何故、昔コーエン兄弟が書いたという全然関係ないスリラーコメディのプロットをくっつけたのか。この奇妙な味はある意味忘れがたいかもしれないが。

 

ラジオ・コバニ
ISに支配されたシリアのクルド人の街コバニに大学生らがラジオ局を立ち上げてから、解放された街に復興の兆しが見え始めるまで。絶望的な状況の中で、お互いの連帯を感じられるよすががあることがどれだけ大切かを感じた。

 

 

渋谷のシネパレスはニュートラルな雰囲気が居心地が良くて好きだった。閉館してしまったのが辛かったんだけど、私は迂闊にも気づいていなかった。シネパレスの所在地と、先立ってPARCOの建て替えのために閉館したシネクイントの復活オープン先が同じビルだということに……!シネパレスはビルの所有者である三葉興業という会社が経営していたそうだけど、映画興行からは撤退して、跡地をPARCOに貸し出すといったところか。今度吉祥寺にできる5スクリーンのミニシアターもアップリンクとPARCOの共同経営らしく、PARCOはまだまだ映画に積極的に携わるつもりがあるらしいと知って胸が熱くなった。