たそがれシネマ

最近見た映画など。

今年の大河は卒業しました。

 

大奥編とやらに突入してしまって以来、大河ドラマの『花燃ゆ』をとんと見る気がしなくなってしまいました。大奥と言っときゃ女の視聴者は喜ぶだろう的な噴飯ものの安易さは、もしかすると、歴代の大河ドラマでも最低レベルの発想なのではないでしょうか。仕方がないので、今年はそろそろ大河を見るのをやめようかと思っています。

 

思えば、今年は最初から脚本家が2人という変則的な体制でしたが、2人とも現代劇では優れた手腕があっても時代劇の経験は浅いようで、そもそもリサーチがちゃんとできていないようだし、リサーチした内容を咀嚼して独自のドラマを再構築するというレベルには全く到達していないように見受けられ、おまけにお互いの間の打ち合わせも不足している様子。それゆえ、長いストーリーを見越して伏線を張るという作業があまりできておらず、常時行き当たりばったりで、活躍するべき人がしかるべき場面で活躍しなかったり、逆にそれまで扱いがぞんざいだった人(あるいはそもそもいなかった人)がいきなり出てきたりで、誰と誰がどうして対立し何が起こるのか、という因果律こそが見どころの歴史ドラマの面白さが一向に立ち上がってきません。

それならいっそ人間ドラマに特化して描くという方法もありそうなものですが、キャラクターや人間関係の設定もいい加減で週によってコロコロ変わったりするので、これも無理。

私は期待していたヒロインの姉の描き方に一番失望しましたが、その夫で後にヒロインの夫になる超重要人物であるはずの小田村伊之助(楫取素彦)の描き方もかなりぞんざいだし、松下村塾の面々なども吉田松陰久坂玄瑞高杉晋作以外はほぼモブ扱いの飼い殺し状態。桂小五郎がストーリーに絡んでこないことの意味も分からない。彼等をうまく動かせばいくらでも魅力的な物語ができたんじゃないかと思ったのですが……。そもそもヒロインからして、兄や夫の教えや名誉を守るため激しく自己主張することも厭わないアグレッシブで才気煥発な側面と、あくまでも家庭を重んじて自分の思惑さえ押し殺そうとするコンサバで控えめな側面との比重が週によってブレブレで、遂に見るに耐えがたい状態にまで分裂しつつありました。

そうこうしているうちに3人目の脚本家がこっそり投入されており、2人ではいっぱいいっぱいで追い付かなくなってしまった状態があからさまに。今年の大河ドラマは、山口県が地盤の某総理大臣が「長州を舞台にしろ」と命令したなどというまことしやかな噂を聞いたのですが、もしかしてそれで慌てて脚本家を探して無理矢理書かせたのかと信じてしまいたくもなるようなお粗末な顛末で、こんなでは一生懸命演じている役者の皆さんが本当に気の毒でなりません。

 

一方。ひろし30歳と聞いてないわーと思っていた『ど根性ガエル』が案外面白いのが最近の驚きです。中年の入口にいる主人公達が大人になることの意味を見つめる姿を中心に据えた岡田恵和さんの脚本とか、ワールドミュージックっぽい旋律をうまく多用しているサキタハヂメさんの音楽とか(「ゴリラパンのうた」も最高!)綺羅星のごとくのキャストとかいろいろ素晴らしいのですが、何と言ってもピョン吉の造形の問題をクリアしたのが大きかったのではないでしょうか。実写とCGの合成は考えつくとしても、満島ひかりさんがあそこまで見事にピョン吉の声を演じるのは、関係者各位の予想をも上回っていたのではないかと思います。

 

本作を見ていて、映画やらドラマやらの制作は、背景にどんな大人の事情があろうとも、現場の人達の志(こころざし)が絶対に必要なんじゃないかとつくづく思いました。志がある作品は、例えその場で観客動員や視聴率に結びつかなくても、後から評価が高まっていくようなケースも往々にしてあります。勿論、志だけではどうにもならないようなケースも多々ありますが、それすらないような作品は本当に見るだけ時間の無駄でしかないと、改めて思いました。

 

もっかのベスト5!(2015/07/11)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【海街diary
(鎌倉に暮らす4姉妹を描く是枝裕和監督作。丁寧に紡がれた物語がしっとり美しい。)

 

1.【きみはいい子
(呉美保監督の最新作。児童虐待、ダメ。ゼッタイ。

 

3.【アリスのままで
(【明日の記憶】でも描かれた若年性アルツハイマー。J・ムーアさんがあまりに上手い。)

 

3.【フレンチアルプスで起きたこと
(いざという時旦那が家族を置いて逃げちゃったら……すんごい切り口のブラックコメディだなこりゃ。)

 

5.【愛を積むひと
(死んだ妻から夫へエールを送る手紙。ベタかもしれないけどしみじみいい話だと思った。)

 

5.【奇跡のひと マリーとマルグリット
(フランスにもヘレン・ケラーみたいな実話が。でもシスターはサリヴァン先生ほど生きられなかった……。)

 

5.【グローリー 明日への行進
(超意外なことに、キング牧師の話はこれまで映画化されたことがなかったんだそうな。)

 

5.【ターナー、光に愛を求めて
(イギリスの国民的画家ターナーの伝記。T・スポールさんが主役って結構レアだと思うが。)

 

5.【雪の轍
(2014年のカンヌのパルムドール受賞作。屁理屈で人より優位に立とうとするオッサンの話って結構辛い。)

 

5.【ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム
(テレビ放映も絶好調!掛け値なく面白いアードマン・アニメーションの最新長編。)

 

(次点)【ストレイヤーズ・クロニクル
瀬々敬久監督にサイキック・ウォーズものを発注する人がいたのにビックリした……。)

 

(次点)【予告犯
中村義洋監督作は大体間違いない。ストーリーはともかくキャストのアンサンブルがいい。)

 

前回からかなり時間が空いてしまいまして申し訳ございませんでした!仕事がちょっと忙しめだったのと、別件がなかなか片付きませんで……。次回からはもう少しサイクルを短めにできるように頑張ります、うぅ……。

 

今回は他にこのような映画がありました。

 

極道大戦争】と【ラブ&ピース】はそれぞれ三池崇史監督作と園子温監督作。どちらも旧作の個性を過剰に入れ込んだような印象で、手詰まり感を感じたのは私だけでしょうか。

天の茶助】はSABU監督作。設定が少々曖昧なのと、ヤクザを安易に出し過ぎな感があったのがちょっと気になりました。

ライアの祈り】は青森県八戸市のご当地映画。アラフォーのまともなラブ・ストーリーって案外少ないのかもしれないと思いました。武田梨奈さん目当てで見に行きましたが、嫌いじゃありません。

ローリング】は冨永昌敬監督作。絶対悪と呼ぶには小者すぎる不善なる人々を描く匙加減が強烈に個性的だと思いました。この独特な空気感、見たら忘れられなくなるかもしれません。

 

もっかのベスト5!(2015/06/06)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【あん
河瀬直美監督の最高傑作かも。永瀬正敏さんと元ハンセン病患者役の樹木希林さんの演技は必見レベル。)

 

2.【Zアイランド
(キャストの使い方が抜群に上手い品川ヒロシ監督。ハイブリッド・ゾンビのコンセプトはハリウッドに売れるのでは?)

 

3.【真夜中のゆりかご
(赤ちゃんを亡くした警官が暴走。S・ビア監督の映画にはいつでも人間の暗くて深い彼岸が見え隠れする。)

 

3.【サンドラの週末
(自分の雇用の維持のためにボーナス諦めてって普通頼めない…。ダルテンヌ兄弟の設定はいつでもシワすぎる。)

 

5.【チャッピー
(朱に交われば赤くなり、すったもんだでとんだディストピアに帰着って、結構トリッキーなプロットなのでは。)

 

5.【新宿スワン
綾野剛さんはこんな役もできるのか!しかし、水商売&売春の斡旋をポップに描くだけじゃ不十分だろ。)

 

5.【ソレダケ that's it
(【爆裂都市】とか【ELECTRIC DRAGON…】とか。好きな人ばっかり出てて嬉しい!けど私のトシでは爆音が辛い…。)

 

5.【駆込み女と駆出し男
東慶寺、大好き。駆け込み寺のしくみがいろいろ勉強になった。今回は二枚目半の大泉洋さんもいい。)

 

5.【グッド・ストライプス
(熱量の低い今時のカップルを中島歩さんと菊池亜希子さんが好演。岨手由貴子監督のセンスに今後も期待。)

 

(次点)【アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生
(ニューヨークのマダム達のファッションは自分の生き方への誇りが反映されているのがカッコいいんだと思う。)

 

(次点)【ゼロの未来
テリー・ギリアム監督の新作。【未来世紀ブラジル】を現代風にしてコンパクトにしたリメイク、といった趣き?)

 

(次点)【追憶と、踊りながら
(自分を嫌ってる人(本編では死んだ同性の恋人の母親)と仲良くするのはどんな場合でも難しいわよね。)

 

(次点)【涙するまで、生きる
カミュアルジェリアに対する思いの複雑さが少し分かったかも?ご参考に【アルジェの戦い】や【最初の人間】もどうぞ。)

 

もっかのベスト5!(2015/05/16)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【龍三と七人の子分たち
(人の迷惑を考えないジジィは基本的に大嫌いだが、大目に見てやんなよ~と言われている気がした。)

 

2.【百日紅 Miss HOKUSAI
(世界に売り込むにはいい題材。杉浦日向子さんが若くして亡くなられたのは本当に残念だった。)

 

3.【脳内ポイズンベリー
(脳内人格の役者さんがみんな達者で大成功。真木よう子さんはこんなふうに悩むタイプには見えないけど…。)

 

4.【セッション
(こんなの既に音楽じゃないという領域に行っちゃった、と思ってたら、音楽の神は人知を超えたところにいた。)

 

5.【アルプス 天空の交響曲(シンフォニー)
アルプスの7ヵ国の各地を空撮。アルプスにはヨーロッパ文化の様々な側面が詰まっているのだな。)

 

(次点)【私の少女
(子供の虐待とか不法就労者の搾取とか同性愛への偏見とか、どれも日本でもありそうだったりして。)

 

(次点)【イマジン
リスボンの古い町並みを舞台に盲目の男女を描く。反響定位エコロケーション)という方法を初めて知った。)

 

(次点)【ギリシャに消えた嘘
(落ちぶれた詐欺師が更に破滅へと向かう、といういかにも救いのないパトリシア・ハイスミスのミステリー。)

 

(次点)【キャノンレース
ノルウェー縦断カーレース(違法)。うぉぉぉ、ノルウェーの田舎をドライブしてぇ~~ !! )

 

(次点)【イタリアは呼んでいる
(英国紳士2人の弥次喜多珍道中。グダグダのジョークの応酬を楽しめる人には味わい深いかも。)

 

今回は他にこのような映画もありました:

 

Mommy マミー】:グザヴィエ・ドラン監督はデビュー作の【マイ・マザー】でも母親との関係を描いており、よほど根深いトラウマがあるんだろうなぁということは分かりましたが、個人的には、そのくらいでもういいよ……(げんなり)と思いました。

ザ・トライブ】:聾唖学校の生徒同士の力関係を手話だけで描いたウクライナ映画。手話の注釈も台詞も字幕もない表現の力強さが印象的ですが、描かれている関係性がバイオレントでプリミティヴで生々しく、とにかく凄く痛そうでした……。

インヒアレント・ヴァイス】:70年代ロサンゼルスのヒッピー文化を背景にしたトマス・ピンチョン原作の探偵物語ポール・トーマス・アンダーソン監督は出世作の【ブギーナイツ】でも70年代を描いていますが、70年代に何らかの思い入れがあるんでしょうか。私はそうでもありません。

寄生獣 完結編】:不完全燃焼!市役所での殲滅作戦は分量的にお粗末すぎ、後藤との対決では後藤の最強生物ぶりが十分に描けておらず、全く物足りませんでした。予算不足なのか、はたまたレイティングの関係で原作の残虐性を軽減させたいのかは分かりませんが、この原作を扱うのであれば、原作のテーマと密接に関係した生きるか死ぬかの残虐性に向き合って描き切る覚悟が必要で、原作にない台詞などを追加して物語性を膨らませ補おうとしているきらいはあっても、2Dの動かぬ紙媒体よりもショボい描写しかできないのではそもそもわざわざ実写化する意味などないのではないかと思います。そこそこよく描けているという見方もできるかもしれませんが、こういう歴史的名作を敢えて映画にしたいというのであれば、圧倒的傑作を創るより他ないのです。

 

もっかのベスト5!(2015/04/17)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【神々のたそがれ
(ロシアの巨匠A・ゲルマン監督の遺作。血と泥と糞尿にまみれた神話的世界はあまりに濃すぎてどっと疲れるほど…。)

 

1.【バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
(ここまでハズレなしのイニャリトゥ監督(メキシコ出身)。これは俳優さんの演技をがっつり堪能するための映画だ。)

 

3.【皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇
(メキシコの麻薬戦争は暗澹たる様相に……。社会や平和を成立させる要因について考えずにはいられない。)

 

4.【パレードへようこそ
(レズ&ゲイ団体が鉱山労働者を支援した実話に基づく。サッチャー時代の鉱山閉鎖がこれほど重大事だったとは。)

 

4.【マジック・イン・ムーンライト
(訳あり霊能力者にコロリと参るマジシャンの話。W・アレン監督の新作が可愛いロマンティックコメディで安堵。)

 

4.【ジヌよさらば かむろば村へ
松尾スズキ監督作。お金云々より、お互いスネに傷を持つ身でも受け入れて生きていこうよ!という話だと思う。)

 

4.【パプーシャの黒い瞳
(ロマの女性で初めての「詩人」となったパプーシャ。文字を使うことがここまで呪われた所業とされる世界って…。)

 

(次点)【死神ターニャ
(死神でいることに飽きた元死神を描くオフビートコメディ。全然恐くないお気楽な死神たちの造形が斬新。)

 

(次点)【ジュピター
グラフィックノベルをまんま実写化したみたいで普通に面白いけど、アニメ化した方が受け入れられるかも?)

 

(次点)【エイプリルフールズ
(何本もの並行するエピソードを分かりやすく飽きさせず見せる手腕は買いたい。後には何も残らないけれど。)

 

(次点)【STROBE LIGHT(ストロボライト)
大阪芸大出身監督のデビュー作。ストーリーは所々疑問だけど、新人離れした演出力は今後期待できるかも。)

 

龍村仁監督の【地球交響曲<ガイアシンフォニー> 第八番】が完成し、都内では先日まで公開されていました。(ぼやぼやしているうちに終わってしまってすいません……。)【地球交響曲】シリーズは、ジェームズ・ラブロック氏のガイア理論をベースに、地球環境と人間との関わりを描いたドキュメンタリーのシリーズです。(ラブロック氏自身も【…第四番】などにご出演なさっています。)今回は樹と人間との関わりがテーマかな?ガイア理論ってなんじゃらほい、ニューエイジっぽいのは何かイマイチ、などと思われる方々も、このシリーズを実際に見てみると、今まで知らなかったような世界観を持つ人を誰かしら見出し、何かしら参考にできる部分があるのではないかと思います。これから上映になる映画館や自主上映会等もあるかと思いますので、お近くでそのような機会がございましたらどうぞご覧になってみて下さい。

 

いろいろ考えた結果、【ソロモンの偽証】は見に行かないことにしました。成島出監督作なのでちょっと気になったのですが、2部作ということでわざわざ映画館に2回行かされることがそもそもかったるい上に、2部作という大義名分の元に時間も料金も2倍差し出すよう観客に要求する映画がこれ以上増えるのは勘弁してもらいたいと最近思うようになったからです。先日前編を見てしまった【寄生獣】を最後に、今後は2部作ものを映画館で見るのは原則的にやめようと思います。
前後編なんて公開方法が出てきたのはタランティーノ監督の【キル・ビル】以降じゃないでしょうか。【キル・ビル】の時もかったりーなーとは思いましたが、そこはタランティーノ監督、バイオレンス中心の前編と愛憎劇中心の後編でテイストを変えて2部作である必然性をちゃんと創り出していて、何となく納得させられてしまいました。でも、これがよくなかったのかもしれない。確かに、1本だけではボリューム的に描き切れないかもしれない作品を、予算も増やしてたっぷり見せたいというまっとうな意図が勝っている場合もあるかもしれませんが、予めある程度集客を見込める作品で同じ予算であれば少し引き伸ばして金を2倍取ってやろうという意図を結構あからさまに感じる場合もある訳で、今後、後者の映画が安易に増えてきたりしたらマジで嫌だなと思うようになりました。
個人的には、予めチケットを買って予約しておかなければいけない演劇などに較べ、いつでも好きな時に見に行ける手軽さがあったからこそ映画をより好きになったという経緯もあります。過去には3部作映画などにもそれなりに感動したこともありますが、基本的には面倒くさいです。映画はなるべく、思い立った時にいきなり見に行って、その場で完結するものであって欲しいです。
それにしても、基本的に見に行かないことにしている映画の種類(3D映画や戦争ものなど)のリストがまた長くなってしまったな……まぁいいけどさ。

 

歌舞伎町の旧コマ劇場跡に「TOHOシネマズ 新宿」がオープンしたそうです。昨年末に「新宿ミラノ」と「シネマスクエアとうきゅう」が閉館し、かつては10件以上あった映画館がついにゼロになってしまった歌舞伎町にまた映画館が出来るのはいいのですが、歌舞伎町から映画館が消え始めて以来、新宿の映画の観客は街の中心部の「新宿ピカデリー」や「新宿バルト9」といったシネコン周りの地域にすっかり吸収されてしまい、既に離れてしまった感がある歌舞伎町への客足が今更戻るのかどうか少し疑問に感じないではありません。まぁ東宝としては、コマ劇場の跡地は何とかしなきゃいけないし、直営のシネコンも欲しかったのでしょうか(「ピカデリー」は松竹・東急系で、「バルト9」は東宝のTOHOシネマズと東映の子会社ティ・ジョイの共同経営)。時間が合えばそのうち足を伸ばしてみようかと思いますが。

(2015/04/27追記)その後行ってみたら結構な盛況でした(笑)。ひとまず杞憂だったみたいでよかったです。

 

靖国通りから見た新宿東宝ビル(一番奥のビル)。3〜6階がTOHOシネマズ新宿。8階にゴジラf:id:youkaippp:20150427124614j:plain

 

もっかのベスト5!(2015/03/21)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【妻への家路
(最近、大人のラブ・ストーリーが少ないとお嘆きの貴兄に。ついでに中国の近代史もちょっと垣間見えたりして。)

 

2.【さいはてにて やさしい香りと待ちながら
(2人の女性の再生の物語。正直、去年の○永○百合さんの映画の100倍くらいいいんじゃないかしら。)

 

3.【幕が上がる
(高校演劇を正面突破で描写した王道の青春映画。ももクロの5人のアンサンブルだからこそ醸し出せる力を感じる。)

 

3.【シェフ 三ツ星フードトラック始めました
(【アイアンマン】の監督さんのオリジナル作品。ラテンのリズムに乗せて面白いように盛り上がること受け合い!)

 

5.【イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
ナチス・ドイツの難攻不落の暗号を解読する物語。変人数学者を演じたB・カンバーバッチさんの今後にも期待。)

 

(次点)【博士と彼女のセオリー
(小説より奇なるホーキング博士の結婚生活の実話。アカデミー賞には病人役が有利という説が再び証明され。)

 

(次点)【風に立つライオン
(実在した日本人医師を歌ったさだまさしさんの曲の映画化。テーマを挙げるとするなら「志」かな。)

 

アメリカではアカデミー賞狙いの作品を年末に公開する傾向が強いので(1月半ばのノミネーションまでの時間が短い方が記憶に残りやすくて有利とされている)、日本でも例年、今くらいの時期にまとめて公開される傾向があります。勿論、アメリカ(およびイギリス)にはアカデミー賞のノミネート作品以外にも優れた作品はあるのですが、賞にノミネートされるような作品はやはりそれなりに力があるので、今の時期にせっせと見ておくといいのではないかと思います。ていうか私は、この時期以外にはアメリカ映画をほとんど見ない傾向が年々強まっているような気がするのですが……。

 

もっかのベスト5!(2015/02/27)

 

東京近辺で上映中の映画のうち、現在オススメするベスト5は以下の通りです。

 

1.【味園ユニバース
(映画ファンなら本作の渋谷すばるさんは必見!二階堂ふみさんとの大阪弁の掛け合いが絶妙。)

 

2.【女神は二度微笑む
(インド娯楽映画のフォーマットを完全に脱した本格的サスペンス映画。超どんでん返しに唖然呆然。)

 

3.【みんなの学校
不登校児ゼロの取り組みをしている大阪市立大空小学校。これを実際に行っているということ自体が凄い。)

 

3.【バベルの学校
(フランスには各校に外国から移住してきた子供達が入る「適応クラス」という学級があるんだそうな。)

 

5.【悼む人
(死んだらさっさと忘れられたい私には主人公の意図は理解しがたい。それでもいろいろ考えさせられてしまったので。)

 

5.【映画 深夜食堂
(TV版は見てなくても大丈夫。大人がしっとり楽しめる良質なドラマ。出てくる食べ物も美味しそう。)

 

5.【リトル・フォレスト 冬編・春編
(農村へのUターン問題とロハス趣味がごっちゃになってるきらいが。それでもこの雰囲気は嫌いじゃないけど。)

 

(次点)【繕い裁つ人
(個人的には今までの三島有紀子監督作で一番しっくり来たかも。中谷美紀さんは未だに一作ごとに進化している。)

 

(次点)【娚(おとこ)の一生
(原作をうまくアレンジしてあると思うが、ヒロインのリケジョ度がかなり下がっているのが物足りないかも。)

 

今回は他にこんな映画もありました。

 

まずは、筆者がぼやぼやしていて少し公開時期が過ぎつつある映画を2本。

 

ワンダフルワールドエンド】は【アフロ田中】【スイートプールサイド】の松居大悟監督作。ブログやツイキャス配信などで地下アイドル的な活動を行っている売れないモデルと彼女の熱烈なファンの中学生女子の物語は、新しい時代の類型になり得るんじゃないだろうか。これは見逃さないでよかった !!

ジョーカー・ゲーム】は【SR サイタマノラッパー】【日々ロック】の入江悠監督作。優秀すぎるスパイの亀梨くんはカッコよかったけど、女には脇が甘過ぎなのが玉に瑕。この女役の深キョン、求められたものは何でもできてしまう人だけど、もっと彼女自身から発信する女優エゴみたいなものもそろそろ見てみたい気がする。

 

最後に、よく出来てはいるけれど、オススメできるかと言われればちょっと躊躇してしまう映画を2本。

 

フォックスキャッチャー】は財閥の御曹司が自らスポンサーになったオリンピックチームで殺人事件を起こした実話に基づく話。頭のおかしい金持ちが貧乏人の人生を弄ぶのって【藁の盾】と同じじゃん !! これからの時代、こんな話がもっと増えるのでは?とも思ったけれど、何よりも、アメリカでのレスリングのマイナースポーツぶりに凄く衝撃を受けました……。こりゃオリンピックから外そうって話も出る訳だ。日本も含めた他の国の人がもっと頑張って啓蒙活動しないとね。

アメリカン・スナイパー】は今回見た映画でやっぱり一番の問題作かなぁ。これは反戦映画なのか?と言われると違う気もするし、ならばよくあるタイプの戦争万歳アメリカ万歳映画なのか?と言われるとそれも違う気がします。本作は、このクリス・カイル氏という実在したスナイパーの心の中で起こっていたのではないかと思われることをおそらくかなり忠実に再現しているけれど、言わばそれしか描いていないのではないでしょうか。父親からマチズモ的な薫陶を受けて育ち、国を守りたい一心で軍に志願し、家族や同胞を守るためと自分に言い聞かせながら引き金を引き、でも殺した相手には子供や女性や、自分と同じように家族や同胞を守るために引き金を引くスナイパーがいることを目の当たりにして、起こってしまったであろう心の動揺の辻褄をどこかで合わせなければならず、毒に蝕まれるように戦うことに蝕まれていった。ただ、クリント・イーストウッド監督は、主人公に起こったことを悲劇的だと捉えてはいても、戦争や主人公の愛国心やアメリカという国が戦争をする大義自体は否定も肯定もしていません。だから、映画を見た人は、自分が読み取りたいテーマをある程度好きな形で読み取ることができるけれど、それはどれも正解なのかもしれないし、どれも正解ではないのかもしれません。