おばさんシネマ

最近見た映画など。

最近見た映画 (2017/08/17版)

 

最近、こんな映画を見ました。

 

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣
ウクライナ出身の天才バレエ・ダンサー、セルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリー。現代に生きている人間であれば、傷ついたり悩んだりするのはむしろ当然で、それが奇矯な言動に見えてしまうのなら、それは“天上の世界”を指向し続けるバレエ界のある意味での“歪み”に由来するのでは。彼が自分の才能を遺憾なく発揮できる場に巡り会えるように願ってやまない。

 

海辺の生と死
【死の棘】の島尾敏雄島尾ミホ夫妻の戦時下の沖縄での出会いを描く。愛を知った女性への変貌を体現する満島ひかりさんの圧倒的な女優力に打ちのめされつつ、今まで避けてきた【死の棘】をやっぱり見なきゃ駄目か~と頭を抱えた。

 

夜明けの祈り
第二次大戦後のポーランド。占領軍の蛮行により妊娠させられた修道女たちに、危険を冒しながらも寄り添ったフランス人女医の実話。下卑たセンセーショナリズムに堕さず、絶望的な状況に対する真摯な苦悩や祈りや救済の物語になっており、むしろ静謐な印象を受けた。

 

ハートストーン
アイスランド大自然に囲まれた小さな漁村を舞台に、幼馴染みの少年に思いを寄せられる思春期の少年の繊細な感情を描く。しかし、少年のお姉さん達とガールフレンド達が全員金髪のロングヘアでごっちゃになるという個人的大失態を犯してしまった……。

 

山村浩二 右目と左目でみる夢
米国アカデミー賞の短編アニメーション部門にノミネート歴がある山村浩二監督の最新短編集。古今東西のモチーフの多様さに目を見張らされる。コクトーピカソ、サティによる伝説のバレエ「パラード」をモチーフにした『サティの「パラード」』は見どころの一つ。

 

ブレンダンとケルズの秘密
【ソング・オブ・ザ・シー 海のうた】のトム・ムーア監督の長編デビュー作(ノラ・トゥーミー監督と共同監督)で、ケルト美術の最高峰と言われる『ケルズの書』について想像を巡らせる。音楽もKiLA (キーラ)が担当。どこを切ってもアイリッシュのエッセンスが満載で素敵。

 

きっと、いい日が待っている
1960年代のコペンハーゲンの養護施設で実際にあったという少年達への日常的な虐待。目を覆うようなエピソードの波状攻撃に、この邦題が俄には信じがたくなる。日本も含めた世界の各地で似たような事件が起こり続けていることに暗澹たる気持ちになった。

 

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
ファストフードとしてのマクドナルド的手法を確立した人々と、マクドナルドをフランチャイズ化して大儲けをした人は別人だった。お金という正義の前では人間性など簡単に切り捨てることができる一部のアメリカ人の商売の才能、その酷薄さやエグさを改めて思い起こさせられた。

 

ハローグッバイ
【ディアーディアー】の菊地健雄監督作。学校で同じクラスにいても交わることのなかった二人の女の子がひょんなことから行動を共にするという、一歩間違えれば退屈になりかねないドラマを見せ切る演出力が素晴らしい。しかし、もたいまさこさんがおばあさん役って……時代は流れていくのねぇ。

 

彼女の人生は間違いじゃない
福島の仮設住宅に住み市役所に務めながら週末は東京でデリヘル嬢として働く女性の話を廣木隆一監督が描く。ほぼ全てタイトルが物語る通り。妻を失い農業ができなくなりパチンコに溺れ娘に苦労を掛ける彼女の父親の姿も、肯定はできないけれど痛々しかった。

 

獣道
【下衆の愛】の内田英治監督作。男女のダブル主演という苦肉の策にも見える手法がとっちらかった印象を与えるし、荒削りで整理し切れていない感は否めないが、泥沼の中で修羅の道を突き進む青春をポジティブに描き切るこの勢いは買いたいと思った。

 

甘き人生
幼い頃に母親を自殺で亡くし心を閉ざしてしまいがちになった男性が、愛する人を見つけて新たな人生を踏み出すまでという自伝に基づく物語。夢のように甘くて優しすぎる母親の記憶が切ないが、マザコンをこじらせたイタリア男は手のつけようがないという印象も強くした。

 

静かなる情熱 エミリ・ディキンスン
19世紀アメリカの高名な詩人エミリ・ディキンスンの生涯。しかし、そもそもエミリ・ディキンスンをよく知らなかったのが大失敗で、あまり思い入れをもってストーリーを追いかけることができなかった……。

 

密使と番人
【Playback】の三宅唱監督による時代劇。演出力の手堅さは見て取れたけど、予算的な問題かキャストも場面も限られているため、どういうドラマが展開しているのか分かりにくい気がして、ちょっと残念だった。

 

 

何もかもはかどらない今日この頃。まぁこんな時期もあるか。気長にやるしかないですかね。

 

ジャンヌ・モロー様の訃報を聞き、彼女の年齢からして仕方のないこととは言え、残念な気持ちになっております。自分にとって、何回生まれ変わってもあんなふうにはなれないだろうなぁという憧憬をもってただひたすら尊敬するしかない女性がこの世にごく少数いらっしゃっるのですが、ジャンヌ・モロー様はそんな女性の一人でした。謹んでご冥福をお祈り申し上げたいと思います。