たそがれシネマ

最近見た映画など。

(前回の続き)アニメがいっぱいな話。

 

前回の記事に少しだけ書いた【この世界の片隅に】ですが、口コミでじわじわと観客動員数を伸ばしてきているそうですね。館数拡大・ロングランの様相を呈してきたようで、喜ばしい限りです。

 

既にご存じの方も多いかと思いますが、【この世界の片隅に】は、戦争が時代背景になってはいるけれど、あくまでも主人公のすずさんの日常の生活を淡々と描いている作品です。そうは言っても、実際は大変エグいことも次々起こっていて、後からよくよく考えるとじんわり刺さってくるのですが、例えば【火垂るの墓】みたいな脳天をかち割られるような激しい衝撃を受けることは少なく、観終わった後はほっこりと暖かく、拍子抜けするほどの穏やかな印象が残ります。これは、登場人物の人達が、その奥ゆかしく柔らかくも強靱な意志により、辛い時代の中でもあくまでも普通の暮らしを貫こうとしていた姿が描かれているからではないかと思いました。(ただ、【火垂るの墓】みたいな作品があればこそ、本作のような作品も成立しうるのかもしれないとも思いましたが。)
また別の側面として、本作は、知らない家にお嫁に来たある少女が、様々な経験を経て酸いも甘いも知った一人の女性に成長する中で、自分の居場所って何だろうと考え続け、“この世界の片隅に”居場所を見つける物語でもあるように思いました。
そんなすずさんの成長を声で演じている能年玲奈さん(本名)。本当に素晴らしい。やはり彼女の才能は、同年代の数々の女優さんの中でも頭ひとつ抜けているのではないかと思いました。

 

君の名は。】が興収で邦画の歴代2位まで上がってきたそうで、また【映画 聲の形】も未だに動員を伸ばしているそうですね。昨年には【バケモノの子】の大ヒットもありました。宮崎駿監督が新作に意欲を示していることが伝えられ、そうなったらそうなったで大変嬉しいことではあるのですが、もしそうならなかったとしても日本のアニメーション界はやっていけるのかもしれない、という確信がもたらされつつあるのが凄いと思います。

 

あ、そう言えば一つ思い出したことが。
たまに、【この世界の片隅に】を誉めようとしてうっかり【君の名は。】などをディスっている人を見かけるのですが、意味ないんじゃないでしょうかね。タイプの違う作品だし、どちらの作品も素晴らしいので、それでいいじゃないですか。
ただ、【君の名は。】がどうしてここまでヒットしているのかな~とつらつら考えていて、自分自身は、ボーイ・ミーツ・ガールとか運命的な恋とかいったモチーフにも、RADWIMPSの音楽にも、若い人達みたいには反応しきれていないかもしれないな~ということに思い至りました。つまり、皆様の周りにもし【君の名は。】への反応が鈍い人がいたとしたら、その人はきっと、私みたいに、人生にもう大して憧れやときめきが残っていないジジババなんですよ。だから、可哀想だと思って生温かい目で見てスルーしてやって下さいね。

 

しかし、これだけいろいろ書いといて本当になんなんですが、実は今、私の頭の中は『ユーリ!!! on ICE』でいっぱいだったりします……。ここまで来て、今年の大本命はこれだったか~ !! というね。もうね。ズブズブズブズブ……。ちなみに【この世界の片隅に】と同じMAPPAという会社の制作です。MAPPAすげ~~~。

 

『ユーリ!!! on ICE』についてはまた機会がありましたら。

 

(2016/12/08追記)
第10滑走をリアルタイムで見た!
今まで、BLに寄せすぎたら視聴者を限定してしまいすぎるんじゃないのかな~、とか心密かに思っていたこととかが全部いっぺんに馬鹿らしくなった。
Love conquers all. 他のことはくだらない。本当にもう全部くだらない。
世界中のあらゆる形の総ての愛を全力で祝福します!